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地元学でいう「風の人」として足元を見つめたり、できことを自分の視点で考えたりしています。好奇心・道草・わき道を大切にしています。


by シン
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 先に「小さいおうち」を視聴し、その記録を整理したところだが、その黒木華さんがベルリン映画祭主演女優賞(銀熊賞)に輝いたとのこと。
 贈られた賞は黒木華さんだが、評価されたのは作品そのものもあったのだろうと思う。毎日新聞「ひと」欄をみると、彼女も「山田監督についてこられただけでも幸せ。みんなで喜べたらうれしい」といい、「銀熊賞の黒木ではなく、『ちいさなおうちの黒木です』と、またベルリンに帰ってきたい」と語っているのだとか。
 もっとも、山田監督が彼女を抜擢したのは、「昭和の雰囲気を色濃く持っている。地方出身の若い女性を演じられる女優は少ない」からだったらしい。一歩引いた地味さが監督の心を引き付けたということのようだ。その結果を受けて今思い返すと、確かに心に残っているのは、その一歩引いたその地味さかな。
 監督が受賞理由を「初々しさが評価されたのでは」と想像したことと、審査員評が「女優が活躍する映画の中で群を抜いていた」と賞賛だったという落差にも納得ができる。

 この映画で感じることの一つがこの作品自体が強い主義主張をしないことであることは、先にもふれた。
 描かれる時代は、やがて始まる戦争へと向かう先行きの見えない時代で、その足音をどこかで気付いてはいるはず。しかし、そのことを直接的に描写するのではなく、好景気に湧く華やかな日々の中に埋没させて描いていく。
 戦争が近づいても、人々は危機意識とは程遠いのんびりと生活を楽しんでいる。戦争の時局そのものも、戦争景気を夢見て浮かれる当時の東京の中流家庭の政治談義として描かれる。男たちは、中国での戦争もすぐに片づくと楽観している様子が、実に写実的に描かれている。

 先に視聴記録を整理した時には、この事を過去の時代としてみていた。しかし、最近気付いたのは、これは今の時代とみるべきだという事。
 福島の中の「フクシマ」の現場からは少し離れたところでみていると、オリンピックに踊らされる中で、「フクシマ」は無かった事になりつつある。
 先の参議院選で一人区になった福島から、勝利した福島の代表議員さんは、浜通り出身の方だ。この方が、いつの間にか「機密保護法案の法制化」にまい進する係として活躍なさっている状況をみている。
 一強独裁の政治の世界では、そのリーダーの方は完全に言いたい放題なのだが、その青臭い若造の論理の片方の先に福島の代表議員さんがいらっしゃる。
 取り戻そうと訴えられる「美しい日本」の時代は、このドラマの少し前の時代で、道を踏み外そうとした頃の日本を指すようなのだ。そこに向けて、武器輸出拡大、集団的自衛権解釈、核の傘依存など訴えられるその先に、「機密保護法案の法制化」にまい進する福島の代表議員さんがいらっしゃるという構図がみえる。
 しかし、近隣諸国の利権・領土への野望が続いていることへの抵抗意識の高揚の雰囲気や、オリンピック意識の高揚が、気づかぬうちに国家意識の高揚に変質している現状。そんな感じかな。

 映画と重ねれば、進むベクトルがあの時代であり、描かれた時代は今の日本そのもののようなのだ。
 ならば、「ちいさなおうち」が、空襲の焼夷弾で焼けて破滅するのは、過去の世界ではなくて、われわれの未来の話なのではないかとの感覚が交錯する。深読み過ぎかもしれないこの感覚を付け加えておきたい。
by shingen1948 | 2014-02-23 05:57 | ☆ 映画話題と視聴記録 | Comments(0)
 福島フォーラムで視聴する。 [1/25(土)公開]
 「ちいさいおうち」は、別冊文芸春秋に連載された中島京子氏のベストセラー小説で、直木賞を受賞した作品の映画化とのこと。
 元女中のタキが、かつて奉公していた東京郊外の赤い屋根のちいさいおうちの平井家を顧みる回顧禄の中で、そこで起こった奥様の密やかな恋愛事件をめぐって、このままでは一家崩壊すると案じるタキとの微妙な心理が描かれるとのことだが、原作は読んでない。
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 映画では、その赤い屋根の小さなおうちに奉公していたタキが、大学ノートに自叙伝に綴り、それを介したタキにつながる青年との交流という設定を通して、昭和と平成の二つの時代が描き出されるという構成。
 モダンな「赤い三角屋根のちいさいおうち」は、その昭和の時代のモダン文化の香りを描きだす。
 扉や窓にはめ込まれたステンドグラスや蓄音器、そこから流れる音楽から、小物まで、東京の中流社会の庶民のおしゃれな生活に溶け込んだ流行の雰囲気が醸し出される。
 そんなおうちで、タキは玩具会社に勤める主の雅樹と優しい奥様の時子、ぼっちゃまとの宝物のような日々を送る。そんな生活の中で、主の会社の社員をめぐる奥様の密やかな恋愛事件も綴られる。

 しかし、今の時代からみれば、その時代は昭和初期から次第に戦況が悪化してやがて第二次世界大戦にむかう時代でもある。これを、その「東京の中流社会の庶民のおしゃれな生活」の旦那様の食卓での会話や来客とのよもやま話を通して描かれる。
 日中戦争などは、平井家での年始に、会社の社長と社員たちが集まった金儲けの話として盛り上がる。
 やがて始まる戦争へと向かう先行きの見えない足音をどこかで気付いてはいるはずだが、表面上は好景気に湧く華やかな日々と重なっていて、深刻さは埋没している。そんな現在にも通じる時代感のようなものが、大学ノートの自叙伝を介したタキと青年との会話から意識させられる。

 残された秘密は青年がひもといていくことになるのだが、タキのその先の真意は視聴する者にゆだねられるが、頭に残るのは、「生きすぎた」という言葉の余韻。

 配役を気にするようになってきたのは最近の事。
 時子を演じるのは、松たか子。その夫・雅樹には、片岡孝太郎。平成に生きる現在のタキには、倍賞千恵子。そして、時子の恋の相手・板倉役には吉岡秀隆。
 昭和のタキを演じるのは、黒木華。そして、タキにつながる青年役は「東京家族」から続けての妻夫木聡。その他、本来主役級の方がちょいと顔を見せるという豪華で多彩なキャストの雰囲気は昨年視聴した「東京家族」映画視聴を思い出させる。

 【フォーラム福島】作品紹介
 上映時間 2h16(2013年/日本映画)
 監   督  山田洋次  原作:中島京子
 出 演 者 松たか子、黒木華、片岡孝太郎、吉岡秀隆、妻夫木聡、倍賞千恵子、橋爪功、吉行和子

 「家族の絆」を描き続けてきた山田監督が、今作で初めて「家族の秘密」に迫る。
 家族の温かさを見つめてきたその目で、更に深く人間の心の奥底に分け入り、その隠された裏側までも描きだそうとする。
 そんな監督の情熱から生まれたかつてない意欲作が、ついに完成した。

 「ちいさなおうち」パンフより
 <小さいおうちに封印された秘密が、60年の時を経て紐解かれるー切なくもミステリアスな物語>
 昭和初期、東京郊外に佇む赤い屋根の家に奉公する女中タキが見た、ある「恋愛事件」。その時、タキが封印した「秘密」が、60年の時を経た平成の今、タキにつながる青年の手で紐解かれていく。真相に近づくカギは、大学ノートに綴られたタキの自叙伝と、一通の宛名のない未開封の手紙にあった。時代が許さなかった恋愛事件の主役である女主人・時子の思いがけない運命と、彼女を慕い続けたタキ。それぞれが胸に秘めた切ない想いとはー?
 小さく可愛らしいこの家で、いったい何が起きたのか? 昭和と平成を行き来しながら、謎を解くミステリアスな展開から眼が離せない。さらに、揺れ動く女たちの心が胸をしめつけるー。

by shingen1948 | 2014-01-25 06:00 | ☆ 映画話題と視聴記録 | Comments(0)
 大島渚監督の訃報のニュースをテレビのワイドショーで見る。
 小心者なので、作品の毒に近づけずに、テレビのワイドショーの姿をお見受けするだけだったが、間違いなく新藤兼人監督、若松孝二監督と同じように、自己を貫く映画に徹した方だったと思う。
 その自己を貫く映画に徹した方の訃報が続くという印象がある。
a0087378_4492522.jpg そんな事を考えている中で気になってきたのが、「11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち」の映画だ。気になりだしたのは、若松孝二監督は、何故、今になって撮らねばならないと思ったのかということだ。メッセージ性の強い社会派作品を撮ってきた若松孝二監督の感性が、今になって何を嗅ぎ分けたのかだ。
 その観点から視聴記録をもう一度整理し直しておこうと思う。

 まずは、現実の世界として確認する。
 この事件は、1970年11月25日、三島由紀夫は自衛隊の国軍化を求めて自決したということ。当時、これは衝撃的な事件だったという感性的な記憶であり、受け止めとして、三島文学の作品と現実がクロスしたものとして理解していたものだった。
 文学的な世界でみれば、三島が追い求めたのは美しい日本の原理としての天皇ということかなと思っていた。
 これを若松孝二監督の感性がどう描き出すのかという興味で映画は視聴した。

 最近になって気になりだしたのが、文学が現実化してきているように感じてきたことだ。三島由紀夫が描く小説の世界に、現実の世界がめり込んでいくという気配を見せているように思えてきていることだ。
 事件当時の首相であり、自民党総裁でもあった佐藤栄作氏は、「気が狂ったとしか思えない」と突き放したはずであり、三島作品が嫌いではなかった自分も、現実の世界としては奇異な感じを抱いていたはずだった。
 ところが、現在は首相の安倍晋三氏が、自民党総裁になると直ぐに国防軍を言いはじめた。確かに、自民党には自衛隊を「国防軍」にする公約があるらしい。そして、安倍氏は、改憲重視の岸信介元首相の孫であるという条件もある。
 そして、思いだせば、2006~2007年の首相在任期間の中で突っ走ったのは、「美しい国日本」「戦後レジームからの脱却」とかという言葉に酔った表現で、国民投票法や教育基本法改正を実現した。そこに、中国を中心とした国境紛争が過熱気味という状況も加わってはいた。
 最近は控え目にしているようだが、見方としては参議員選挙までだろうとのことだが、政治に疎い素人には分からない。ただ、若松孝二監督の感性が今だと判断したのは、劇場化する現実世界に流される現代を見ていたのかもしかないなと想像する。

 ※ 先に整理した「11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち」の視聴記録
 この映画の視聴記録としては、以下の2回に分けて整理した。
 〇 映画視聴記録「11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち
 http://kazenoshin.exblog.jp/15600991/
 〇 映画視聴記録「11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち」②
 http://kazenoshin.exblog.jp/15607944/

 「映画監督:若松孝二さん訃報のニュースに接して」、その時点で残念に思ったのは、彼が秋にもう一本撮りたいと言っていた原発の映画が見たかったなあということだった。
 http://kazenoshin.exblog.jp/16633010/ 
 「東電をもじくる」ための真実味を出すことと経費削減を兼ね備えた手法に使えそうなニュース映像も最近になって出てきているらしいので、若松監督がタブーに挑戦し、隠そうとしているものを全部ぶちまけるだろうという期待感があった。

 若松監督の魅力は、力を抜いてきままに撮った抽象的なファンタジー作品に感性的なものとしてあらわれるということらしいが、自分にとっての期待は、「気張って作る歴史物」だったことが分かる。
by shingen1948 | 2013-01-24 05:20 | ☆ 映画話題と視聴記録 | Comments(0)

「東京家族」視聴記録

 福島フォーラムで視聴する。 [1/19(土)公開]
a0087378_643393.jpg 「東京家族」は、1953年の小津安二郎監督作「東京物語」をモチーフに家族のきずなを描いた作品とか。
 瀬戸内海の小島に暮らす橋爪功、吉行和子が演じる老夫婦が、子供たちに合いたいと上京する。開業医の長男の家に、美容院を営む長女、舞台美術の仕事の次男が集まる。 
 この設定は小津安二郎監督作「東京物語」と変わらないとの紹介だが、こちらは視聴していない。この作品は、日本の社会が変わろうとする時代のある家族の日常風景を通して切り取った作品とのことだが、今の時代も、漠然と大きな変化を突きつけられているところに、東日本大震災が襲い、新たな迷いを突き付ける時代背景。
 その今を生きる家族の日常風景を描く事を通して、日本人のあり方とか家族のあり方とかを語りかけるということが共通のテーマらしい。

 親子関係は希薄であるという設定のようだが、その中にもやさしさが漂う。
 長男長女はやさしく迎え入れようとするが日常の生活に忙しい。両親の相手も出来ないから、お金を出し合って横浜のホテルに泊まってもらうことにするのだが、2泊の予定を切り上げて帰ってきてしまう。
 結果的に宿なしになった両親が、それぞれの計画でその日を過ごす事に。
 父は、同郷の友人宅へ、母は次男のアパートへ行くことに。そこで、母は、東京に来て本当によかったと安堵する出来事に出会って帰ってくるのだが、何があったかを話す前に、突然倒れてしまう。
 ストーリーは淡々と進むのだが、その中で家族とか絆とか日常の幸せってなんなんだろうと考えさせられる。
 特に、次男が、母に恋人との出会いを紹介する場面、父がその次男の恋人と向き合う場面を通して、気まずかった次男と父親のかかわりに新たな希望を匂わせて心に残る。
 最後に、日々の暮らしに戻る。そこにあるのは羨ましい瀬戸内海の小島の風景、隣の家族との濃い人間関係があるのだが、感じ入るのは、それは日常の暮らしでしかないという贅沢さかな。その暮らしの中で爪を切る姿でエンディング。

 【フォーラム福島】作品紹介
 東京家族
 2012年/日本映画上映時間2h26
 監督:山田洋次
 出演者:橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣
 小島で暮らす夫婦が子供たちに会うために東京へやってきた。久々の再会に初めは互いを思いやるが、次第につれなくなる子供たちに淋しさを抱く父と母。誰よりも近いはずが時々遠くに感じてしまう。そんな、どの家族が見ても思わず共感してしまう物語です。山田洋次監督最新作!

 【エキサイトシネマ】作品紹介
 東京家族
 山田洋次監督83作目は小津監督へのオマージュ
 小津安二郎監督の代表作『東京物語』を現代の設定に置き換えた家族ドラマ。橋爪功、吉行和子、西村雅彦、中嶋朋子、妻夫木聡など実力あるキャストを迎え、監督50周年となる山田洋次がメガホンを執る。田舎から上京してきた夫婦と東京で暮らす子どもたち、生活のリズムが違う家族が再会することで生まれる絆を時に愛おしく時に儚く描いていく
 ストーリー
 個人病院を営む長男、美容院を経営する長女、舞台美術の仕事をしている次男。東京で暮らす3人の子供たちに会いに瀬戸内海の小島から上京した周吉ととみこ。だが、楽しく滞在してほしいという子供たちの思いは噛み合わず、ある日とみこが次男の家で倒れ……。
 スタッフ・キャスト
 監督・脚本:山田洋次 ・製作:深澤宏、矢島孝・脚本:平松恵美子・撮影:近森眞史・美術:出川三男 ・音楽:久石譲
 出演:
 橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優、小林稔侍、風吹ジュン、茅島成美、柴田龍一郎、丸山歩夢、荒川ちか

by shingen1948 | 2013-01-19 06:44 | ☆ 映画話題と視聴記録 | Comments(0)
  「ベン・シャーン展」を見ない事に決めたのは、核や放射能からは目をそらしたいということではない。巡回展なのに、福島開催の今回はかなりの作品が、福島入りを拒否されているのを、低料金、写真でカバー等の策で誤魔化す対策が気に入らないだけだ。

 福島フォーラムの「特集:映画から原発を考える」は、原発や放射能汚染を描いた映画を上映することと、どんな未来に向かって歩いていったらいいのかを考えるトークイベントで構成されるらしい。
 その上映&トークイベントという趣旨で、13弾:「第4の革命」上映時に、「日々の暮らしから考えた自然エネルギーの活用と共生」と題した、武藤類子さん×藍原寛子さん(ジャーナリスト)のトークイベントが行われたらしい。

 失礼ながら武藤氏を存知あげなかったのでどなたか確認する。
 市民団体「ハイロアクション福島原発40年実行委員会」の委員長で、「脱原発福島ネットワーク」と共に福島原発告訴団を結成したという情報が見つかった。この福島原発告訴団が、6月11日に、勝俣恒久会長ら東電幹部らの刑事責任を問おうと、業務上過失致傷容疑などで福島地検に告訴したとのことだ。【福島民報(2012/03/17)】 いまだ収束せず、検証も対策も中途半端な原発事故。口では謝罪を言うが、責任はだれも取らない。このままでいいのかという思いは同じだが、自分には、目立つ派手な動きには引くところがある。
 ただ、この方は、原発事故以前の日々の暮らしでは、福島県田村市の人里離れた一軒家で、森の暮らしを続けながら、里山喫茶「燦(きらら)」を経営していたという地道な暮らしをしていたらしい。<「ふるさと:原発事故15カ月(1) 森の暮らし奪われ」【毎日新聞(2012/6/18)】>
 もともと原発反対運動に関わっていたようだが、「まず自分たちの生活を変えることが大切」と考えるようになったとか。
 42歳の時、川沿いの雑木の山の開墾に取りかかり、鍬で斜面を掘り、一輪車で土を運び、3年かけて平地を作って、最初の小屋を建てたとか。
 できるだけ自給自足を目指そうと、畑を広げ、ソーラーパネルを設置、太陽熱利用の調理器や温水器も導入したという。「ランプとまきストーブの生活。見上げると満天の星があった」とか。
 そして、03年に50歳を前に県立あぶくま養護学校を退職し、退職金で家を建て、きらめく人生を送りたいとの思いで名付けた里山喫茶「燦」を経営していたという。これが、トークイベントテーマ「日々の暮らしから考えた自然エネルギーの活用と共生」とのかかわりなのだろうと想像する。

 「ベン・シャーン展」は、どう言い訳しても、福島開催でアメリカの美術館の拒否に敗北し、作品の多くが、福島入りできなかったという。それを低料金とか写真でカバーとかで対応したという福島にとっては屈辱的展覧会と位置付けるべきものだと思う。
 しかし、福島フォーラムのこの「特集:映画から原発を考える」の趣旨とは別視点からその観客になって考えているだけだが、この地道な企画はいいなと思う。
by shingen1948 | 2012-06-26 05:20 | ☆ 映画話題と視聴記録 | Comments(0)
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 今回みたいと思ったのは、晩年まで新たなテーマや表現の可能性に挑戦し続けた新藤兼人監督の作品の一つという観点だったが、福島フォーラムの上映の主旨は、「特集:映画から原発を考える」ということのようだ。
 この事業は、先に見ない事を決めた「ベン・シャーンクロスメディア・アーティスト展」ともかかわっていて、その半券を提示すると700円で視聴できるという事のようだ。

 この「特集:映画から原発を考える」は、昨年からの継続事業のようで、今回は、その11弾:「friends after3.11」・12弾:「プリピャチ」・13弾:「第4の革命」に続く14弾:「第五福竜丸」上映ということだったようだ。
 その福島フォーラムパンフレットでは、この「第五福竜丸」の作品を以下のように紹介する。
 昭和29年3月、南太平洋ビキニ環礁付近でマグロ漁船、第五福竜丸の乗組員たちは核実験による死の灰を浴びる。真っ黒な顔になって静岡に寄港して間もなく彼らの体は変調をきたし始め……。被爆の痛ましさと人々の善良さを対比させた、社会派映画の傑作
 監 督 : 新藤兼人
 出 演 : 宇野重吉/乙羽信子/小沢栄太郎
 1959年日本映画1h50

 その内容を、昨日整理したように、「事実の通りに撮るのだけれど、記録映画で撮れるわけじゃないから、シナリオを事実の通りに書いて、それを俳優でやるというドキュメンタリーに対する一つの試み」としてみると、監督の思いの表出を感じるのは、機関長の葬儀の場面で合唱がちらりと入る部分だけで、他は淡々と事実を記録する手法だ。この事で、かえって思いの重みを感じさせているように思う。
 それから、この作品では、久しぶり懐かしい俳優の顔がみれたことも心に残る。特に、乙羽信子が若若しいのが印象的。家人などは、「愛妻記」を再読し始めた。
by shingen1948 | 2012-06-25 05:20 | ☆ 映画話題と視聴記録 | Comments(0)
 この映画の上映の主旨はいろいろあるようだが、今回みたいと思ったのは、5月29日に100歳の映画監督で脚本家、文化勲章受章者の新藤兼人監督が亡くなったというニュースをみたこととのかかわりだ。
 氏の「自分の撮りたい映画を作るために独立プロダクションを立ち上げ、幾多の困難を乗り越えながら徹底したリアリズムで戦争と核、人間の生や性、家族、老いなどを描き、晩年まで新たなテーマや表現の可能性に挑戦し続けた生涯(NHKウェーブ特集)」の断片のいくつかを見聞きしていた。
 この「第五福竜丸」が絡む経歴を、「新藤兼人 百年の軌跡」の経歴紹介のページから拾うと、以下の部分だろうか。
 50年(昭和25)、松竹を退社し、吉村公三郎、殿山泰司たちと独立プロ「近代映画協会」を設立。
 51年(昭和26)『愛妻物語』で監督デビュー。以降、『原爆の子』、『第五福竜丸』など近代映画協会を拠点に旺盛な創作活動を開始する。
 60年(昭和35)、全編セリフを排した『裸の島』がモスクワ国際映画祭のグランプリに輝く。

 ここに、「映画人九条の会4・14映画と講演の集い」のページから、氏の発言を重ね合わせてみる。
 『原爆の子』は、劇映画として作ったけれども、今度はそれをやめて、第五福竜丸が被った被曝の状況などを、全部事実の通りにやってみたい、と思ったんです。事実の通りに。
だけど記録映画で撮れるわけじゃないから、シナリオを事実の通りに書いて、それを俳優でやる、ということですね。一つの試みだと思いましたよ。ドキュメンタリーに対する一つの試み。全部俳優がやるんだけれども、事実通りにシナリオを書いて、そのままやってみるということなんです。これが、僕が長年映画をやっていて、いつか試みてみたいと思ったやり方なんです。
 なぜそれをやるかというと、それで一つ映画のリアリズムに近づくことが出来るんではないか、ということなんです。それでぜひ実験的にやろうと。
 この映画がまたあまり受けないんです(笑い)。「えっ、原爆?原爆ですか」っていうような感じですね。関心がないんです。観る人は観てくださったんですが、受けない。

 それでいよいよ解散かと思って、解散の準備をして、記念作品に「裸の島」という映画を一つ作って、これを最後に解散しよう、ということになったんです。これが最低の予算で、最低の銭で作ったんだけれど、どういうわけかモスクワ映画祭でグランプリを獲って、世界中に売れたんですよ。
 今回も、「観る人は観てくださる」観客は、おっさんとおばさんでまばらだった。
by shingen1948 | 2012-06-24 05:26 | ☆ 映画話題と視聴記録 | Comments(0)
 枝葉の事だとは思うが、この映画がデジタル映像だった事が気になったので付け加えて整理しておく。
 「11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち」は、実録とは謳わないが、ニュース映像と物語の展開を重ねる手法は、観る者には、その実録の雰囲気を醸し出す効果が伴う。同時に、そこには、違和感の危険性もはらんでいるはずだと思うのだ。
 今回それは感じなかったが、表現者としての監督は、デジタル映像化をどう思っているかということを知りたいなぁと思った。

 たまたま、NHKクローズアップ現代で「フイルム映画の灯を守りたい」という番組を見た
 映画のデジタル化の波の中、その課題を取り扱った内容だったが、その解説者の話の中に、表現の多様化の話があったことを思い出している。そこでは、表現上のフィルムのよさの特徴を、次のようなものとしていた。
 このことと今回の作品とのかかわりが気になったということだ。
 フィルムっていうのはすごく包容力があるというか、カットバックしてても、色味が多少違っても、なじませてくれるというか、すごくあいまいないいところがあるんです。

 なお、今回の「11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち」の作品では、ニュース映像と物語の展開を重ねる手法はその途中までで、最後の場面では、取り巻く環境の状況は、音声と状況に反応する演技での表現だった。

 「フォーラム福島」のホームページには、映画の「フィルムからデジタルへ」の流れを以下のような態度で受けとめるとあった。
 デジタルシネマ導入
 このたび、フォーラム福島では6つのシアターすべてにデジタルシネマプロジェクターを設置いたしました。どのシアターでもデジタルならではの美しい映像と色彩をお楽しみいただけます。また、音響も最新のスピーカー、音響システムもドルビーサラウンド7.1を導入いたしました。臨場感あふれるサウンドをお楽しみ下さい。
 ※ロードショー作品は、現状ではフィルムでの上映とデジタルでの上映に分かれておりますが、徐々にデジタルでの上映に統一されます。

by shingen1948 | 2012-06-22 05:20 | ☆ 映画話題と視聴記録 | Comments(0)
a0087378_423174.jpg 映画は、浅沼稲次郎社会党委員長を刺殺したテロリスト・大学解体、反権力を叫んで安田講堂に立て籠った全共闘・人質をとって籠城し、差別への怒りをぶちまけた金嬉老等を、若者たちの憂国の純真さとオーバーラップさせて展開する。
 観客としての自分は、ここに実体験が重なる。

 浅沼稲次郎社会党委員長を刺殺事件は、学校の作法室のテレビでリアルタイム、或いはそれに近い実時間の中でその映像を見ている。休み時間だったかどうか定かではない。宿直の時に泊まりにいくほど好きだった先生が、陰で泣いているのを見たことを思い出す。今だから言えるが、子供心に言ってはいけないことという大人の判断をずっとし続けていたことを思い出す。

 大学解体・反権力を叫んで安田講堂に立て籠った全共闘と三島の対話集を読んだのは、最近、家人が古い本棚から取り出してみていたのを見て思い出した。
 あの事件の頃、三島由紀夫はブームだったが、自分が読んでいたのは能楽の物語を小説にした作品群だったというちょっと斜めから見ていた感じ等々……。
 自分としては、そんな実体験の中で楯の会にかかわるニュースを目にしていたという実時間の中で映画をみていたが、実時間の体験のない家人にとっては、展開がやや速いという印象だったらしい。

 フォーラム福島作品紹介
 人気の絶頂にありながら1970年11月25日に衝撃の自決を遂げた三島由紀夫。美学に殉じたその人生を再現するのではなく、若松孝二監督が描き出そうとするのは三島と「楯の会」の若者たちが心の奥底から向ける眼差しそのものだ。「おまえら聞けぇ、聞けぇ!」あの日の命がけの叫びが聞こえてくる。

 エキサイト映画情報
 11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち
 鬼才・若松孝二監督が描く三島由紀夫
 メッセージ性の強い社会派作品を撮ってきた若松孝二監督が、三島由紀夫が自決にいたるまでの日々とその心中の葛藤を描き出す。前作『キャタピラー』にも出演した、演技派俳優ARATAが三島由紀夫に、そして寺島しのぶがその妻をそれぞれ熱演した。また、三島を信奉していた政治活動家・森田必勝を演じた満島ひかりの弟・満島真之介にも期待。
 2012年06月02日より公開
 ストーリー
 『仮面の告白』や『金閣寺』など次々と話題作を発表し、文壇の寵児となった三島は、文筆活動のほかに左翼革命勢力への対抗を目的とする“楯の会“を結成し、決起の時を待っていた。しかしなかなかその時が訪れず苛立ちを募らせ、遂に自ら行動をおこすことに。
 スタッフ・キャスト
 監督・製作・脚本若松孝二 :製作尾崎宗子:脚本掛川正幸:撮影辻智彦、満若勇咲:音楽板橋文夫:
 出演
 井浦新、満島真之介、タモト清嵐、岩間天嗣、永岡佑、鈴之助、水上竜士、渋川清彦、地曵豪、大西信満、中泉英雄、橋本一郎、よこやまよしひろ、増田俊樹、中沢青六、長谷川公彦、韓英恵、小林三四郎、岡部尚、安部智凛、藤井由紀、小倉一郎、篠原勝之、吉澤健、寺島しのぶ

by shingen1948 | 2012-06-21 05:20 | ☆ 映画話題と視聴記録 | Comments(0)
 2日、福島フォーラムで「武士の家計簿」試写会があった。
 この映画は、ベストセラーになった歴史教養新書「武士の家計簿(磯田道史著)」の映画化だ。NHKのテレビ番組でみたことがあった。
 この原作の基になり、題にもなっている家計簿は、加賀藩の御算用者(経理担当)の下級武士「そろばん侍一家」のものだ。そこに残された記録は、かなり詳細なものだったらしい。番組では、「家計簿」を読み解く学術調査から、その時代背景とからませ、一武士家族の生活ぶりを浮き上がらせたことが紹介されていた。
 無味乾燥な古文書から、幕末の体制崩壊という時代背景の中で、懸命に生きる姿として読み解くことに感心したものだった。
 今度は、その家族の生活を映画という手法で実像をより具体的に浮かび上がらせるということのようだ。
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 舞台は、幕末の加賀藩。
 その御算用者の猪山家八代目の直之は、トラブルに巻き込まれそうになりながらも順調に出世する。直接的には描かれないが、当時の武家社会では身分は高くなっても出費も増えるという構造になっていたようだ。ともかく、出世しても家計は厳しいままだ。
 直之は、その困窮極める我が家の財政難を憂い、知恵と工夫で日々の生活を乗り越える。この工夫が、徹底的した家計切り詰めであることを描く。
 更に、家の骨董品や着物、蔵書も売り払い、借金返済にあてるのだが、これもまた生半可なものでない。
 それに、物語の基にもなっている「家計簿」だ。これも、細かい記録というにとどまらないことが描かれる。家庭の催事もかかった経費は其の日のうちに記録するという徹底ぶりだ。
 「そろばんバカ」と揶揄される程生真面目で一本気な直之が、当時の武士としては異例の決断を下す。この体面を無視した徹底した節約ぶりを、倹約前と倹約後の様変わりを対比して描かれることで、つい笑ってしまう。
 激動の時代を生きる下級武士の日常だが、その仕事は城詰めなのだが、内容が広間に集って黙々とそろばんを弾くということに、おかしさを感じながらもリアリティーを感じる。
 滑稽さの中に、激動の時代を世間体や時流に惑わされることなく、つつましくも堅実に生きた猪山家の絆と家族愛が浮かび上がる。

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エキサイトシネマ解説
by shingen1948 | 2010-12-04 05:49 | ☆ 映画話題と視聴記録 | Comments(2)