これが、秡川の水位観測地点に描かれるメジャーだ。

前回、おおよそ雨水が秡川に流れ込む口の高さを75㎝としたが、これが読み間違いだ。その高さは約1mのようだ。これは、この辺りの堤防で最も低い処と同じような高さだ。
これに伴う警戒水位の意味あいも読み間違っていたことになるので修正する。
前回、警戒レベル1の水位と水が秡川に流れ込む口の高さを同じ75㎝と見たので、逆流雨水溝への逆流警戒と見たが、そうではなさそうだ。
次のレベル2の浸水注意水位に向けての準備段階という意味合いだと思われる。
このレベル2だが、100㎝とのことだが、この水位はこの辺りの堤防で最も低い処の高さでもある。また、雨水の排水溝の高さでもあるということになる。
したがって、このレベルは雨水溝に逆流したり、冠水が始まったりする可能性のある水位と推測されるということだろうと思う。
レベル3浸水危険水位(120㎝)は前回整理の通りだ。
堤防の上に積み重ねられたブロックや板塀の高さを越えて浸水する危険性のある水位ということになるようだ。

周りを見回すと、今もあちこちに土嚢が積まれたままになっている。「祓川に雨水貯留施設整備へ【毎日新聞福島版(2019/11/22)】」で、「10月の台風19号で8軒が床上浸水するなど」したという記事と重なる風景なのだろうと思う。
「祓川に雨水貯留施設整備へ【毎日新聞福島版(2019/11/22)】」の報道の記事によると、今回の対策として雨水貯留施設が整備されるとのことだった。
その記事の中に、以前から水位計が設置されていたという情報があった。
これが、その水位計だろうと思われる。

その水位は、福島市の「秡川水位の確認」のページで確認することができる。
堤の脇に記される水位計と見比べると、水位約1mで右側の堤防から水が溢れるような感じだ。その堤防の上に約20㎝のブロックが積み重ねられている。また、写真奥には同じ高さの板塀が設置されていることが分かる。
警戒水位を確認すると、レベル1が75㎝とのことだ。周りの風景と見比べると、おおよそ雨水が秡川に流れ込む口の高さだ。この高さを越えれば、水は雨水桝を通して道路側に逆流していくレベルと推測する。
レベル2が100㎝とのことだ。この辺りの堤防で最も低い処の高さのようだ。越水が始まるレベルと推測する。
レベル3は120㎝とのことだ。堤防の上に積み重ねられたブロックや板塀の高さとかかわるようだ。ここからは近所の民家の浸水被害が想定される水位だと推測する。
水位で見る限り、昭和61年8月豪雨 (8.5洪水)時の2m52㎝を越え、3m60㎝に達していたということだ。それでも、河川敷が冠水するかどうかだったというのは改良工事の賜物ということらしい。
これが、もう少し増水したり、この状態が長く続くことがあったりしたならば、大きな災害になった可能性があったということのようだ。
「避難情報」から松川付近の警戒レベル4以上の情報を拾って確認する。
19:15 警戒レベル4荒川・大森川・濁川・八反田川流域に避難勧告発令
20:25 警戒レベル4濁川・八反田川流域に避難指示(緊急)発令
22:00 福島市に大雨特別警報発表
22:10 警戒レベル4松川流域に避難勧告発令
御近所の情報通によれば、避難行動は松川流域の方の方が八反田川流域の方よりはやかったらしい。八反田川流域に避難勧告が発令された19:15に避難所として平野中学校が追加されるのは、そのこととかかわるのかもしれない。
「今回の豪雨が身近なところにもたらしたこと④」で記したように、豪雨にかかわる近況が分かる情報を得る準備をしたのは、台風21号から変わった熱帯低気圧の影響でまた大きな被害が予想された時からだ。清水水位観測所のデータと観測用ライブカメラで松川の状況を確認しようと思った。

多分、映像から河川敷が冠水する勢いがあると読み取れるようなら、流域に大きな被害が予想されるという事なのだろうと想像する。
清水水位観測局の断面図をみると、水位観測局付近の右岸河川敷は3m60㎝より低い。
散策時にはこの河川敷でゲートボールを楽しんでいる姿が見られたのだが、この河川敷まで水が上がった可能性が高いという事だろうと思う。

確かに堤防の外の民家が建つ所は3m85㎝のようなので、結果的には何事もなかったのだとは思うが、ぎりぎりだったのではないのかな?と思う。
また、「福島市ホームページ」の「台風19号による被害状況と本市の対応」から、松川の阿武隈川合流地点では決壊は免れているものの浸水被害があった事が読み取れる。
「公共施設等被害状況(軽微なものを含まず)」で浸水被害が記録される信夫ケ丘総合運動公園(古川)があるのは、松川合流地点右岸だ。
信夫ケ丘競技場(古川)と信夫ケ丘球場(古川)では、床上浸水被害だったことが読み取れる。

河川敷の土手の草が倒れて枯れ枝が引っかかっているのは、台風19号時に水が流れた痕跡だと思う。
昨日確認した清水水位観測所のデータと断面図とのかかわりからの推測だ。
風景と照らし合わせると、その最高水位の読み取りが弱かったようなので、「23時30分には避難判断水位3m60㎝を越えても水位は上昇し続け」の後を「23時50分には3m63㎝に達した。」と修正する。
この河川敷が運動公園だった頃、この河川敷まで水が上がっていた記憶がある。それで、この風景は、ここから上流の改修工事による成果だろうとみていた。
しかし、「福島市ホームページ」の「台風19号による被害状況と本市の対応」のページによると、昭和61年8月豪雨 (8.5洪水)時の松川の水位は2m52㎝とのことだ。
つまり、上流の大規模な改修工事を行っているにも関わらず、台風19号時の水位は、8.5洪水時よりも1m以上上昇していたということだ。その位、今回は大変なことが起きていたということのようだ。
したがって、この風景は河川敷それ自体の改修による効果という事になるらしいという事だ。もし、そのままだったら、この河川敷は1m程水没した状態になっていただろうという事かな?

避難判断水位とは、住民の皆さんが避難を開始すべき水位なそうだ。清水水位観測局の場合3.60mと設定されているようだ。
清水水位観測局付近の断面図と見比べる。
避難判断水位は、右岸の河川敷ぎりぎりのラインのようだ。堤防の外の土地よりやや高い水位になっているようだ。
左岸の河川敷では氾濫が起き始めているラインのようだが、堤防の外の土地はこれよりやや高いようだ。
説明はないが、その下の黄色表示ははん濫危険水位あたりを示していると思われる。
はん濫危険水位は、河川の氾濫の発生を注意する水位とのことだ。清水水位観測局の場合2.50mと設定されているようだ。
この水位は、土砂堆積や樹木の繁茂などで川の通水面積が小さい箇所で堤防破堤や河岸溢水が起こる可能性のある水位なので、川に近づいていけないということのようだ。
上松川橋桁に表示されるのは、地域に知らしめるという事と共に、この辺りの左岸河川敷は公園や散歩コースに、右岸河川敷はゲートボール場になっているようなので、利用者に対する注意喚起の意味合いがあるのだろうと想像される。
清水水位観測所付近の様子が確認できたところで、台風19号時の清水水位観測所のデータを再確認しておく。「今回の豪雨が身近なところにもたらしたこと⑤」で整理した事の再掲だ。
「12日15時50分頃から水位が上がり始め、18時には水防団待機水位2m以上となった。19時には氾濫注意水位2m50㎝を越え、そのまま水位は上昇し続けだ。23時30分には避難判断水位3m60㎝を越えても水位は上昇し続け氾濫危険水位3m85㎝に迫った。
しかし、13日0時には水位が下がり始め、避難判断水位3m60㎝を切った。その後も水位は下がり続け、4時20分には氾濫注意水位2m50㎝を切った。
7時50分には水防団待機水位よりも水位が下がった。」
全国受けする大きな被害だけを発信しているからだ。それでも、どうにか郷野目地区が被害にあったことは分かったので、「今回の豪雨が身近なところにもたらしたこと②」として整理したところだった。
ここでも記したように、地元民のための報道という観点で軽微な被害の情報も欲しいものだと思っていたところだった。
本日の「祓川に雨水貯留施設整備へ【毎日新聞福島版(2019/11/22)】」の報道は、そんな気持ちに少し答えてもらえた気がした。それで、「今回の豪雨が身近なところにもたらしたこと②」(その2)として整理しておきたい。

この報道で、確認できなかった祓川の氾濫が確認できたことというだけではなく、完全ではないが今出来うる対策をとるらしいことが分かった。
記事によると、福島市長の記者会見で、福島市の12月補正予算で祓川に雨水貯留施設を整備することを発表したとのことだ。それで、ネットで12月補正予算案説明資料を確認すると、近年、激甚化している災害に対応するための「緊急自然災害防止対策事業」として以下の3項目が上がっている。
①農業排水路護岸改修(古荒川)
②河川河道掘削(馬川ほか7河川)
③雨水貯留施設整備(祓川)
記事では、この中の3っつ目の項目についてやや詳しい内容まで報じていた。
貯水量は約5000㎥で、来年の梅雨時までの完成を目指すという。
祓川氾濫情報の確認という点では、以下のようにふれている。
「秡川は近年、流域の宅地開発が進み田畑が減少した事で大雨の際に流れ込む水量が増加。川の断面が狭い同市曾根田町と森合付近で氾濫を繰り返すようになった。10月の台風19号で8軒が床上浸水するなど、今年度は床上、床下浸水を伴う氾濫が5回起きている。」
更に「今年9月の台風19号に伴う大雨で氾濫した秡川=福島市曾根田町で」として、飯坂街道の信号辺りから特別支援学校付近から森合福島高校にかけての秡川の氾濫写真を掲載していた。
市では、この対策として雨水貯留施設が整備されるとのことだ。また、以前から水位は設置されていたという。ただ、貯水量は限られるので抜本的な対策にはならないという。
記事では否定形のままだが、読み手としては、今まで新聞記事にもならなかったところに出来うる限りの対策をとってみるという姿勢を肯定的に捉えるべきではないのかなと思う。

福島市の洪水ハザードマップでは、北八反田川との合流地点からこのあたりにかけての被害が大きいと想定されているようだ。
Mapを詳細に見てみると、この辺りの民家付近での浸水は0.5m未満とされているようだ。0.5m~3.0m未満の区域とされるのは、「はなひらの」は含むがほとんどが農地ということのようだ。
気になるのは八反田川が飯坂街道を横切る付近の堤防の様子だ。
前回整理した八反田川が13号線を横切って流れていく辺りでは、上流側も下流側も崩れていた。散策人の感覚としては、13号線を横切る事による衝撃とのかかわりで水流が乱れたことに伴う力が一部の岸に加わったことによるものと思ったのだが、こちらでは崩れた様子はない。
その事と飯坂街道沿いの歩道側水路とかかわるのではないかとの素人判断で仮説を立ててみた。
写真に排水口が写るが、この水路が衝撃の緩衝地帯の役割を果たしたのではないのかと思ったのだ。確認してみると、川と高速道路との間の草原や「はなひらの」前の低地にある水田と繋がっている。現時点では排水路になっているが、この八反田川が増水した時点では遊水路の役割を果たしたのではないのかなと思ったのだ。
最初の「今回の豪雨が身近なところにもたらしたこと」でふれた飯坂街道沿いの排水路での溢水情報ともかかわるような気がする。台風19号時にはそれ程でもなかったが、台風15号時では結構ひどかったとのことだ。
豪雨とのかかわりで万世大路から分岐した飯坂街道を眺めてみると、結構多くの用水路が横切っていることが分かる。
八反田川沿いで見たように、飯坂街道西側歩道下の排水路がこれらの用水路が飯坂街道を横切る時の緩衝地帯の役割を果たしているのではないのかなという想像だ。
笹谷団地入り口付近で水が溢れたのはその排水路の遊水作用のキャパを越えて起きたものではないかとの推測だ。
原因を用水路のゴミ詰まりとすれば対策は用水路清掃となるが、誘因がそちらだとすればそれでは解決できないということになる。

ここが、早乙女橋の次の橋である沖中橋が見えてくる地点だ。この右岸沿いに沖高水位観測局がある。

アンテナが建ち、フェンスで囲まれた小さな建物がそれだ。ここからは確認できないが、近づくと表札に福島県河川流域総合情報システム沖高水位観測局とあるのを確認する。
橋下近くに水位のメジャーが見えるが、測定システムは分からない。
福島市の洪水ハザードマップでは、先日の写真に写る民家付近が、0.5m未満の区域とされている。むしろ、北八反田川との合流地点から飯坂街道を過ぎたあたりの被害が大きいと想定されているようで、0.5m~3.0m未満の区域とされているようだ。
散歩がてら沖高水位観測所周辺を目指してみる。
イーオンで一度休憩をして、それから水位観測所を目指す。
イーオンから13号線国道に出て、北に進む。そして、八反田川と交差する地点から川沿いに八反田川の様子を観察しながら東進することにした。
ここが、八反田川が13号線を横切って東流していく地点だ。この地点の両岸とも削り取られているのが分かる。

今回はこの地点から八反田川の左岸を東進するので行かないが、13号線を挟んだ西側の八反田川の堤防も削り取られているようだ。注意を知らせるピンクのテープを張った竹の杭が見える。

更に下流に進んで、左手に用水路の取水口が見える。左岸には民家も見えてくる。
川中の木々の様子からは、豪雨時の水流の勢いが想像できる。
沖高水位観測所のデータを確認する限りでは、八反田川は台風19号による豪雨にぎりぎり持ちこたえたかのように見える。しかし、実際には、決壊は免れているのだが、無傷という事ではないようだ。