「坂の上の雲」⑤~子規と福島
2010年 01月 12日
翌年(明治27年)2月には、子規庵に移り、8月には日清戦争が勃発する。従軍記者になるのは、翌々年(明治28年)3月だから、まだ血気盛んな子規だ。
滞在場所は某宿とのことでよく分からないが、主人は俳句をたしなむ方だったらしい。
読み取りに間違いがなければ、夕涼みであろうか信夫山にやってくる。
青田の畦道づたいに、信夫山をめざす。
宿から北をめざして歩いてきた曾根田町あたりの風景だろうか。
青田ありて又家居ありまちはずれ
笛の音の涼しう更くる野道かな
公園にたどり着いて見えた景色は、監獄署と公園が相並んで見えているようだ。
地獄と極楽の掛け軸を並べて懸けたような風景は、方向的にはこのポジションだろうか。
そこから信夫山公園に登って、満月近い月齢12の月の光に福島の町を眺めている。
公園に旅人ひとり涼みけり
見下ろせば月に涼しや四千軒
酒を飲んで言い争う声が聞こえてきたのは、こちらの方向だろうか。
景色を眺める様子もない人達だったので、月の光は自分にだけ降り注いできたようだ。
子規は、信夫山からの夜景を一人じめしている。