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地元学でいう「風の人」として足元を見つめたり、できことを自分の視点で考えたりしています。好奇心・道草・わき道を大切にしています。


by シン
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渡利地区の阿武隈川沿いの風景⑨

 休日に手持ちの資料を整理していたら、ふれあい歴史館の「阿武隈川の舟運」というパンフレットが出てきた。
 散策してきた渡利地区とかかわる部分を整理すると、より深く実感できそうに思えた。
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 「弁天山」は、先に整理したように三山からなる。東から福見山・椿舘・八千代山が連なっている。その西端の八千代山に、弁財天が祭られているので、ここを単独に弁天山と呼ぶこともあるということだった。
 その弁財天の勧進だが、これも舟運とかかわるようだ。
 弁天山の登り口の案内板に「貞享2年(1685)渡辺友意の子孫貞嘉が水上運行の安全を祈願し山上に勧進す。」とあったが、この渡辺氏というのが、この阿武隈舟運を始めた方らしい。
 寛文4年(1664)に、信達地方の米を江戸に運ぶために、代官に阿武隈川の川浚い普請を願い出たのが、阿武隈舟運の始まりとのことだ。
 本格的な舟運は、寛文10年(1670)で、幕命を受けて、その渡辺氏の子孫が代々十左衛門を襲名して、普請や廻米をしていたということだ。
 福島から沼の上までの小鵜飼舟による舟運を渡辺氏が請負い、水沢以降が艜舟に積み替えて上総屋が請け負うということだったらしい。それが、明和4年(1767)に渡辺氏が廃業に至って、上総屋が全ての舟運の主になるという経緯を辿るらしい。

 その渡辺氏が舟運の神として弁天山に滋賀県の竹生島の弁財天を勧進したのだか、その後、天神河川岸に移動した理由は案内板にある通りのようだ。
 ただ、移動先として指定されたのは、小倉寺村のようだ。黒岩の向いあたりというから、今の蓬莱橋のあたりだろうか。舟運を守護する神としてはこの位置は納得がいかないということで、福島河岸が見守れる位置にこだわったという経緯もあったようだ。
 絵地図には、弁財天は阿武隈川守護仏として天神様と共に天神渡しの少し下流に描かれているようだ。上の写真に写っている橋は天神橋で、その橋の左手あたりと思われる。

 それが、これもまた明治の廃仏希釈によってこの弁財天は名倉の長勝寺観音堂に移ったそうだ。この長勝寺は、立子山を訪ねた後、その続きである農民一揆のかかわりで訊ねたことがある。そのことを「義民⑤~名主半十郎供養塔」として整理しているのだが、その観音堂のこの事情について考えは及んでいなかった。
 弁天山には、新たに鹿島神社が勧進されて、弁天山が復活する。
 案内板はこういった事情も説明しているのだが、その知識を持たない者にとっては歯切れの悪さを感じてしまっていた。

 もう一つ渡利地区とかかわるのが河岸だ。
 福島河岸には、福島藩と米沢藩の御米蔵があったそうだが、渡利側にも、天神河岸と渡利河岸が舟運の蔵場としてあったということだ。
 渡利河岸の賑わいはイメージしていた所だが、天神河岸にかかわる道筋が明治2年の絵図では、それ程重要にみえなかった。
 その天神河岸は、主に立子山・飯野方面の幕領米を運んだとのことだ。そして、渡利河岸(松齢橋のやや下流の位置)が、川俣を中心とした小手郷の幕領米を扱ったということだ。そこに、天神様と海運の守護神として弁財天が鎮座していたということだ。
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 阿武隈川海運図には、確かに天神河岸から延びる道が描かれている。
 その時代の川俣方面と渡利地区のつながり具合は分からなくなるが、立子山・飯野方面と天神河岸は繋がっていたということになりそうだ。
 鳥谷野渡しはその途中ということで、農民一揆の義人の足跡は、鳥谷野の渡し経由で信夫の里に入って大森陣屋とかかわった道筋だろうし、案内板にあった「伊達政宗の父が粟の巣から、こちら側を経由して、鳥谷野の渡し」を渡ったということも、実感しやすい。ここから大森経由で慈徳寺に向かったということになるのだろう。

 最近、「疣石峠の話」~享保14年信達農民強訴物語~という、労作を見つけた。眼を通してみたが、この地域に五感を通して馴染んでいなかったので、実感を持って捉えきれなかった。
 今回、渡利・小倉寺・山之内から、立子山辺りを散策したが、その後で、もう一度目を通して見たら、今度は読めるような気がした。
 この立子山地区を最初に散策したのは疣石峠で、農民一揆の確認だった。是非、読み通して、この地域をもう少し深く感じてみたい。
by shingen1948 | 2009-10-28 05:06 | ◎ 水 | Comments(0)