「庚申壇古墳説明会⑤~出土遺物」
2009年 09月 08日
今回の説明会では、その他の詳細不明な土器については未確認として、埴輪と副葬品が中心だった。
埴輪については、昨年もそうだったが、表土や盛土の層からの出土だったとのことだ。大部分が円筒埴輪で、朝顔型埴輪も一定量出土したという。
焼成時の黒班(焼きムラ)は認められないという。このことは、年代特定の一つの方法であって、これがないということは野焼の可能性が低く、そのことで、古い時代の方の可能性を削るというふうに考えるらしい。
年代を特定するのには、埴輪の表面のはけ目状の調整痕が大切らしい。
ここの円筒埴輪は、タテ・ヨコ・ナナメの調整痕が施されているが、特にタテに調整を施した後に横方向の調整が施されたれた埴輪が確認されているとのことだ。
透かし(埴輪に開けられた穴)は、円形のみとのことだ。
昨年の情報では、底部はタテ方向の調整のみが施されているが、上部ではヨコ方向の二次調整が施されているというのがあった。今年は、底径34㎝前後のものと、24㎝程度のものがあるという埴輪の大きさについての情報が加わる。
朝顔型埴輪も、肩部ではタテハケの後に、ヨコハケが施されて、頚部凸部帯が明確に突出する特徴だったという。
昨年に発掘した遺物については、「庚申壇古墳説明会⑥~出土遺物」で整理している。
天王壇古墳などから出土している人物や動物の埴輪が確認されていないことから、天王壇古墳よりやや古い時代を推定していることも変わりなさそうだ。
副葬品については、昨年は、鉄製品7点が礫床の直ぐ上から出土していることから、副葬品を考えているとしていた。種類は、刀子・帯金具・工具等が考えられるとしていた。
今年は、それを「出土した副葬品」として、これまでに出土したものが整理されていた。
更に、副葬品の短剣・長頚鏃が主体とならない鏃の組み合わせから、5世紀後半を下らないとし、年代についても言及していた。
「出土した副葬品」
○鉄剣 (全長32㎝) 1点
○帯金具(ベルトまたは馬具の一部) 1点
○鉄鏃8点
※鏃には、有茎鏃(矢柄との装着部分の茎部が存在する形態)と無茎鏃(矢柄との装着部分の茎部が存在しない形態)と長頚鏃(茎部と鏃身部の間に長い棒状の頚部が加わる形態)があるということだ。