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地元学でいう「風の人」として足元を見つめたり、できことを自分の視点で考えたりしています。好奇心・道草・わき道を大切にしています。


by シン
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バイオマスエネルギーについての問題点は、思ったより深刻らしい。

  バイオマスエネルギーについての問題点が出てきたということは、風力発電について考えた時と同じように、大規模に本格的に始まったことであり、一つの転換期を迎えつつあるのだろうと思っていた。

ところが、農業白書は、もっと深い問題点であることを指摘しているとのことのようだ。

 途上国を中心とした人口増加、バイオエタノール用穀物需要拡大で、世界的に食料需要が逼迫することが懸念されるとのことだ。そんな中で政府はEPA交渉を進めていて、食料輸入を更に増やす方針だが、国内の農業生産を増やす必要性がでてきているという。

 2007年5月29日「朝日新聞」は「ざっくばらん」で、レスター・ブラウン氏に、バイオ燃料は「救世主」ですかと質問している。
 回答の要約は、穀物高騰で、貧困層が打撃を受ける。日本は、ハイブリット車や太陽光発電の開発のリーターとして、自然エネルギーに力を入れるべきだとしているとのこと。

 バイオマスエネルギー関連に付いての情報に触れたのは、30年位前岩波の「科学」という雑誌の中に、ブラジルで、サトウキビからアルコールを造りそれをエネルギーにする実験が始まるというニュースだった。自分には夢物語に感じたのだが、その勘は外れていたらしい。



 バイオマスという言葉が、日常的に私の目に触れるようになったのは最近だ。菜の花プロジェクトなど興味を持った。素晴らしい取り組みだと思っていた。
 2005年10月4日「朝日新聞」よくわかるページでは、「原油高の今だから考えよう自然エネルギー」として、注目されている日本の自然エネルギーの現状について一般向けに解説した記事を載せていた。

 そこに登場したのは、「太陽光発電」「風力発電」「バイオマス」であった。
 この時点での問題意識は、自然エネルギーによる供給の低さは、バイオマスエネルギーの利用率の低さによるということであった。

 2007年1月5日「福島民報」は、「須賀川市、新年度から『菜の花プロジェクト』」との見出しで、菜の花を休耕田で栽培し、食用油を給食で使用し、その廃油で公用車の燃料にしようと言う計画が紹介されていた。それは、地球温暖化防止の有効手段として紹介されていた。

 バイオマスエネルギーがいいことだけではないという記事になってきたのはごく最近である。

 2007年4月27日「朝日新聞社説」で「バイオガソリン~いいことずくめではない」として、代替燃料として、エタノールなどバイオ燃料が食料問題に波及してきたことを伝えた。
 2007年4月26日「朝日新聞」「ニュースの焦点」では、バイオエタノール明日から試験販売というニュースに合わせて、「『「温暖化対策』で導入は、疑問の声強く」として問題点を指摘した。
 一つは、計画それ自体の問題点であり、もう一つは、食糧問題に与える影響であった。
 計画それ自体については、環境省等の計画と石油連盟の取り組みのすりあわせの問題である。
 
 農業後継者不足で耕作放棄地活用、間伐材原料で林業振興にも役立て、省益確保をめざす農水省は「循環型社会形成に農業が大きな役割を果たす」と力説する。
 ガソリン販売への影響を気にする石油連盟は、批判しながらもバイオ燃料導入は避けられないという判断から、業界が主導権を握るため試験販売に踏み切ったとみる。
 ところが、環境省のガソリンにバイオエタノールの混ぜ方と、試験販売のガソリンに液化石油ガスとバイオエタノールを合成したETBEを混入する方式とがあるとのことだ。しかも、どちらも供給は間に合わないという。ブラジルでも供給が追いつかなくなり、米国も大規模な導入を打ち出し、世界的にも供給は間に合わないということであった。

 もう一つの問題点として、食料生産と競合する問題が浮上した。穀物の価格高騰を招いているとの問題点の指摘だ。こちらの問題点が深刻らしい。
 2007.5.30「福島民報」に、開発協力隊の方の投稿記事が載っているのを目にした。バイオエタノール普及で、トウモロコシを栽培し、一儲けしようという人たちが、焼畑農業を広げていて、バイオマスエネルギーは地球に優しくないと訴えていたようだ。

 これらの問題点を打開すべくいろいろな取り組みも紹介されている。

 2007年5月11日「朝日新聞」は、「食べぬ部分でバイオエタノール」と題して、植物の食べられない部分を使うということで、藁を利用したバイオエタノールを造る技術の開発を紹介した。ただ、藁を煮るために石油燃料を大量に使う問題点を指摘していた。

 朝のNHKニュースでは、加熱のかわりに、振動のエネルギーを使ってアルコール化を推進するという、バイオエタノール作成過程でのエネルギーの省力化の紹介をしていた。

 これからも、このエネルギーについていろいろな取り組みがなされていくのだろう。ただ、食料問題と絡んできたら取り返しのつかないことになりそうだということは感じる。
 特に、日本は、食料を輸入に頼っており、政府はこれからも輸入依存の方向で、国際社会と協調するように持っていきたいと考えているようだから、最初の犠牲者になる可能性が高いということのようだ。
Commented by ブロガー(志望) at 2007-05-31 22:37 x
お邪魔します。
 エネルギーは「使って(使われて)こそ価値のあるもの」ですが、バイオ
マスエネルギーの場合は「作る」話ばかりで「使う立場(のメリット)」が見
えてきません。このままでは結局「退役した超音速旅客機コンコルド」「で
きたけどお蔵入りになってしまったテクノスーパライナー」と同じ道をたど
るのではないでしょうか(結局は穀物市場を乱高下させて農地や熱帯雨
林を潰しただけで終わる?)。
Commented by shingen1948 at 2007-06-02 05:24
 前提は、石油で享受してしてきた便利さを確保するためというものがありそうです。その前提を崩さずにバイオマスエネルギーに変換していこうという意図がみえます。政策として通産省に新エネルギー部なるものを設置して、法制化していますので、私には、寧ろストップできないことのほうが心配です。穀物市場を乱し、環境を破壊しだしたにも関わらず後戻りができそうもなさそうだと思えますが……。
by shingen1948 | 2007-05-31 04:55 | ☆ 環境話題 | Comments(2)