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地元学でいう「風の人」として足元を見つめたり、できことを自分の視点で考えたりしています。好奇心・道草・わき道を大切にしています。


by シン
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教育再生会議の見守り方を教わる

教育改革のゆくえ―格差社会か共生社会か | Excite エキサイト ブックス > 書籍情報
新しい教育基本法を元に、今後は学校教育法の改正が行われ、それに準じて学習指導要領の改訂や振興計画の策定が行われる段階へと進む。それらのことをバックボーンに、政治がイニシャチブを取って進めるのは、教育再生会議だという。首相官邸サイドの決定が、教育の骨格作りを左右する度合いを強めることになる。これから、教員や学校への評価制度の強化を通じて、学校現場を統制する力も強まってくる。
 今までのように教育基本法は歯止めにならない。これからは、時の政府の教育への口出しをチェックすべきだという。しかし、どんな風にチェックすべきかといった時に、私には、その観点を持ち合わせていなかった。その観点を、本書によって与えてもらった。

氏が最も主張したかったことは、改革すれば何でもよくなるという迷走の危険性であるようだ。
改革しなければ教育はよくならない。改革すれば、教育は良くなるという掛け声で教育改革が始まり、現首相は、教育改革は最優先課題だという方針のもと、教育再生会議を設置した。この認識の危うさを指摘する。
 特に、改革が危険な場合として、具体的に、以下のような場合を提示している。

一 利害や価値観の対立がある場合:例えば、格差教育・格差社会の問題など。
ニ 制度やシステムが高度に整備している場合:例えば、ラジカルな再編と改革はゆがみと機能低下を招く
三 実践者との意識のずれがある場合
   
氏は、年代順に経緯を無意図的に並べることによって、かえって改革の矛盾点を明らかにしてみせる。私なりに読み取ったことを元に、箇条書きに整理してみると以下のようになる。

1980年からのゆとり教育改革の流れ
・学習指導要領「ゆとりと潤い」「ゆとりと充実」→ゆとりの時間の導入
・教育過密知識詰め込み教育への偏り・
        →受験競争激化・受験苦の自殺・家庭内 暴力・少年非行の反省
1983~1987 臨教審答申「個性の重視」「教育の個性化(学校の自由化)」
        →教育学校の多様化弾力化
        →中高一貫教育・学校選択性の導入・選択科目の拡大
        →選択と競争を重視する新自由主義的市場原理主義的改革イデオロギー
1992学校週5日制月1日導入
1995学校週5日制月2日導入
2002四月完全学校週5日制実施と新しい学習指導要領の実施
※教育予算と教職員の数を増やさずに、地方公務員の週休2日実現が本音。
1999学校教育法の改正→中高一貫校・中等教育校の正式設置
1997通学区域の弾力的運用について
    →1998三重県紀宝町2000東京品川区学校選択性の導入
2000教育改革国民会議設置
    →教育基本法の改正・奉仕活動の義務化・学校の外部評価とその結果の公表・学校選択性の促進・中高一貫校の大幅な拡大・コミュニティースクールの導入・問題を抱えた児童生徒への厳格な対応・家庭保護者の教育責任の強調・指導力不足教員の教職からの排除・スクールカウンセラーの導入・民間人校長の導入と校長裁量権の拡大
2002一月確かな学力の向上のための2002アピール「学びのすすめ」公表
「聖域無き構造改革」「改革をとめるな」「民間でできることは民間で」小泉首相
義務教育国庫負担金の削減・構造改革特別区域法に基づく特区校の導入・学校選択性の拡大・公立学校の第三者評価の試行的実施・教育基本法の改正・07全国一斉学力テスト・教育免許更新制の導入

 この改革の中で、重大で危険な改革について以下のようにまとめている。
① 学校5日制安易な導入と拡大と「ゆとり教育」改革・それへの反動としての「テスト学力重視」
② 義務教育段階からの教育機会の不当な差別化・格差化「強者の論理による」教育の再編
③ 成果主義統制主義査察主義的な改革・政策→学校と教師とりわけ公立学校とその教師を理不尽に非難し、その自信と誇り、夢と情熱を低下させる可能性や、その誠実な実践や学校改善・自己研鑽の努力を妨げる可能性の大きい改革
④ 義務教育費国庫負担金問題と教育基本法改正問題
日本の優れた教育の側面とその基盤を解体、日本の教育をだめにする。

  ひとつひとつの主張について、丁寧に論を進めていくが、納得してしまうのは、結論の理念である。

結論にいく前に、まず次のように楔を打つ。
教育を政治の道具や政治のおもちゃにしてはなりません。教育現場は、すでに、疲れ切っていると言っても過言ではないような状況にあります。教職員もますます多忙になっています。心的障害を抱える教師やバーンアウト(燃え尽き症候群)に陥る教員も増えています。それで本当に教育がよくなると期待できるのでしょうか。これは、国政レベルだけでなく、自治体レベルでも同様ですが、政治家は今一度、誠実に考えるべき事です。

 そして、「未完のプロジェクトとしての教育ー教育の改善・充実のための四つの準則」として、以下のようにまとめる。
 
教育は未完のプロジェクトです。完成することのないプロジェクト、教職員や保護者・地域住民をはじめ関係者が絶えず支え続け、誠実な努力を続けてこそ、成功の可能性と展望が開けるという性質のものです。その直接的な担い手である教職員に信頼を寄せ、その誠実な実践と改善努力を支え、支援し、適切な協力をしてこそ、成功の可能性が高まるという性質のものです。その点を疎かにして、制度改革をしたからといって、よくなるというものではありません。
 教育再生を重要課題とするなら、本当に必要なことは、教育改革ではなくて、教育の改善・充実を図ることです。

 これからあるべき改善のすがたとして、以下のようにまとめている。
1、教育は現在と未来への投資です。お金も人手も時間もかけずに良くなることは有りません。
2 義務教育は全ての子どもとその家族にとっても欠くことのできないライフラインです。そのライフラインを寸断していくなら、日本の社会も子どもの生活・成長も確実にゆがんでいきます。
3 子どもの生活・学習・成長にとって、安全でケアに満ちた空間と安定した豊かな時間のリズムはきわめて重要です。

 この観点を参考にして、教育再生会議について、私なりに見守りたい。
by shingen1948 | 2006-12-21 20:27 | ☆ 教育話題 | Comments(0)