朝ドラ「エール」視聴関連情報~「古関裕而楽譜4枚」⑩
2021年 07月 20日
前回まで、4枚の古関裕而楽譜の12段の五線紙の下に「東京芝松本町・共益商社書店」とあるのが読めたことをもとにその情報の内容を整理してきた。
4枚の古関裕而楽譜の五線紙にメモ書きされているものの一部も読み取れている。今度はそのメモ書きにかかわる情報を整理してみる。
Note 音符の全然○所は普通の言葉で。←Timetempoに関係なく
(符頭のない八分音符記号が3つ記される)の如き所は、普通の言葉でリズムだけ譜の通りに語る。
曲はlead orchestraにも編曲出来る様Cmajorにしました。伴奏はいたって簡単。そして、ultramodernです。
この譜は、私の方に、写しを取ってありませんから、なくさない様切望致します。
この中で注目したいのは、「符頭がミュートの八分音符と四分音符・二部音符記号が並ぶ」所をなかなか難しいがと断りを入れて説明する部分だ。
「所謂シェーンベルヒの語れるメロディーで吹くのと話すとの間を行くメロデイー」だとする。
ここに登場するシェーンベルヒ氏が、「朝ドラ『エール』視聴関連情報~『古関裕而楽譜4枚』③」で整理した「十二音音楽」にかかわる方だ。
その後に、藍川由美さんが古関裕而氏の楽曲を最先端の音楽=無調音楽の影響下にある歌曲と解説した事について自分なりに整理してみたが、その事ともかかわる情報だ。
古関氏が自らの楽曲とシェーンベルヒ氏とのかかわりに言及する情報が「ふくしま地域ポータルサイト『ももりん』」の古関裕而の足跡を解説するページにある。
www.i-fukushima.jp/tokushu/archive/2015/23133/
ビクターの機関誌「ビクター」昭和5年(1930年)7月号の「名曲者自伝」という記事内容を次のように紹介する。
「商業一年生の終りの頃からハーモニカ合奏曲の編曲を始めて、和声学と対位法の練習を行った。(中略)音楽理論と和声学の本は山田耕作氏の『音楽理論』(講義録)『近世和声学講話』が一番役立った。今はシェーンベルヒの『和声学』で勉強しております」
「今はシェーンベルヒの『和声学』で勉強しております」の今は昭和5年(1930年)7月号の記事を書いたころということだ。
この頃の古関氏の経歴を確認すると、この年の6月に内山金子さんと結婚し、9月にコロンビア専属作曲家として上京している。
この「古関裕而楽譜4枚」はその頃に書かれたのであろうし、古関氏はその頃にこの楽譜を手放したという事になるのだろうと想像できるという事なのだろうと思う。