「懐メロ聴取」として整理する~「音楽の泉」⑥
2020年 10月 17日
最初にMP3playerに入れたバッハの曲かかわりで好奇心が刺激されることは、今も続いている。
例えば、「古楽の楽しみ」10月の第3週目はバッハの「世俗カンタータ」を中心に紹介された。その火曜日は「楽しき狩こそわが喜び」BwV208が紹介されたのだが、途中で「羊は安らかに草を食み」を伴奏とした歌曲が流れたのだ。
自分としては、この曲は「あさのバロック」という番組のテーマ曲として流れていて誰もが知っているとのことで、MP3playerに入れた曲だった。この番組は、皆川氏もかかわったという「バロック音楽のたのしみ」の後発の番組だったとのことでもある。
恥ずかしながら「羊は安らかに草を食み」は、バッハの世俗カンタータ「楽しき狩こそわが喜び」BwV208の第9曲であることを知らなかった。
この時に初めて、バッハの世俗カンタータ「楽しき狩こそわが喜び」全体を聴いたうえで、その中の一曲が「羊は安らかに草を食み」であるという知識になったという事だ。
なお、このカンタータは、1713年に公爵の御供でクリスティアンの宮廷を訪れた際に、そのクリスティアン公の誕生日を祝う曲を演奏するために作曲されたとのことだ。
「羊は安らかに草をはむ」は、領主を羊飼い、人々を羊になぞらえて、「良い羊飼いのもとでは、羊は安らかに草を食むことができる」などと領主を称える、一寸ユーモラスなアリアになっているとのことだ。
その楽器がリコーダー(フラウト)2本が奏でられることで、素朴な調べが、聴き手にタイトルどおりの情景を連想させるということだ。そのリコーダーへの関心も誘発される。
この日、MP3playerに入れたバッハの曲かかわりがもう一つあった。
この「楽しき狩こそわが喜び」の第一曲の前に「シンフォニアヘ長調」BwV1046が流されたのだ。
このカンタータに序曲のようなものはないが、このシンフォニアが演奏されたという説が有力だからということで、そのような構成になったようだ。
この曲は後に「ブランデンベルグ協奏曲」第一番の第一楽章になるということだが、自分にとっては「ブランデンベルグ協奏曲」そのものに聞こえる。
「宮廷室内音楽の華」のアルバムを入れたのは、「平均律クラヴィーア曲集第1巻より第1番ハ長調」BwV846が目当てだったのだが、他に「オルガンのための6つのソナタより第4番ホ短調」BwV528と共に、「ブランデンベルグ協奏曲第1番2番6番」も収録されていたのだ。
確認を進めると、バッハの「カンタータ」にはこの「ブランデンベルグ協奏曲第1番」にかかわることがもっとあるということだ。
カンタータ第52番「偽りの世よ、われは汝に頼まじ」の第1曲シンフォニアも「シンフォニアヘ長調」BWV1046a第1楽章からの転用とのことだ。
カンタータ第207番「鳴り交わし争う弦も相和して」BWV207の第1曲の合唱は、ブランデンブルグ協奏曲第1番BWV1046 第3楽章からの転用ということだ。転用に際して、ヘ長調からト長調に移調されているという。また、第5曲の器楽合奏には、第4楽章の第2トリオが転用されているという。
更には、このカンタータ第207番は、歌詞が改められて、ザクセン選帝侯フリードリヒ・アウグスト2世の聖名祝日を祝う祝賀カンタータ「いざ、勇ましきラッパの嚠喨たる調べよ」BWV207a に改作されているのだとか。
邪道かもしれないが、カンタータ第52番「偽りの世よ、われは汝に頼まじ」の第1曲シンフォニアとカンタータ第207番「鳴り交わし争う弦も相和して」BWV207の第1曲の合唱を確認して楽しんだ。