朝ドラ「エール」散歩資料(福島)⑳~古関氏のご当地ソングに歌い込まれた福島の風景④
2020年 09月 02日
自伝では、「福島小夜曲(ふくしまセレナーデ)」レコード化に当たっては次の「吾妻山」「弁天山」「信夫山」の3編を選んだということだ。
遠い山河たずねて来たに吾妻しぐれて見えもせず
川をへだてた弁天山の松にことづてしてたもれ
信夫お山におびときかけりゃ松葉ちらしの伊達模様
この事については、「朝ドラ『エール』散歩資料(福島)⑰~古関氏のご当地ソングに歌い込まれた福島の風景」で整理したところだった。
しかし、実際のオリジナルレコードの歌詞を確認すると、二番は「川をへだてた弁天山の松にことづてしてたもれ」ではなくて、「奥の細道とぼとぼゆきやる 芭蕉さまかよ日のくれに」になっているようだ。
まだ確認はしていないが、昭和50年に歌われたものの3番は「信夫お山におびときかけりゃ松葉ちらしの伊達模様」ではなくて、「会津磐梯山がほのぼの見ゆる 心ぼそさにたつ煙り」が選ばれているという事だ。
福島夜曲の福島を狭義の福島(町)市とイメージするか、もっと広く福島県とイメージするかということだろうか。ただ、古関裕而氏の直筆色紙とされるお山は明らかに信夫山のようではある。
竹久夢二氏の「福島夜曲」と題した12の民謡調の詞はその対象となる具体物がよく分からないものもある。
土湯温泉街「古関×夢二×土湯」の観光宣伝に「みちはみちのく通草のつるは 引けばひかれて鳴るほどに」と共に紹介される「思いの滝をばまいらせかしこ とても文字摺乱れがち」とする滝もその一つだ。
その確からしさは知らないが、こけしを愛し美しい滝を愛でた夢二氏が訪れた土湯温泉の景勝地「思いの滝」を詠んだものだと紹介される。