地元学でいう「風の人」として足元を見つめたり、できことを自分の視点で考えたりしています。好奇心・道草・わき道を大切にしています。


by シン
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28

和算散策余談②

 前回の整理で、小さい頃にそろばん塾に通っていたことについてふれた。その関連で思い出したのが、父親との割り算九九についてのやり取り。
 珠算の練習をしているのを見ていた父が、もっと簡単な割り算の仕方があるといってこの割り算九九なるものを教えてくれたのだ。ただ、いくつもの運指法を使ってしまっては、混乱しかねないので取り入れることはなかった。
 記憶に残っているのは、「にいちてんさくのご」という語感だけだ。

 今ではそろばんを使う事もないので、運指法に混乱をきたしたとしても何の支障もないので、この割り算九九を確認していた。

 江戸時代、京都を中心にそろばん塾の興隆があったそうで、この関連で出版されたと紹介されるのが、「算用記」と毛利重能「割算書」のようだ。
 この天理本「算用記」は、1967年に京都で発見されたそうだ。この本は、「割算書」と酷似した前半部分と、「塵劫記」に酷似した後半部分から構成されているという。
 それまでは、江戸初期(1622年)に書かれた「割算書」が、最も古い和算書と考えられていたのだそうだが、こちらが最古の可能性が高いということになっているそうだ。

 毛利重能「割算書」の確認ができる。以下に五の段まで記したが、これが九の段まで続く。
 記憶の「にいちてんさくのご」という語感は、この九九の最初のようだ。
 「二一」の部分は、除数と被除数を表しているようだ。「天作五」の部分は、そろばんの横さんの上を天といい、その下を地ということイメージすると分かるようだ。天に一珠置いて値を五とすることを意味するようだ。
 (実際には、被除数を置いてから操作するので、その先に一を払うという操作がある)
 次の「逢二」は、除数と被除数が共に二であることを意味しているようだ。「進一十」の部分は、先の位に一を加えることを意味しているようだ。
 ここの唱え方は、「にしんがいっしん」ということになるようだ。

 三の段の除数と被除数は二の段と同様。「三十一」の部分は、その位に三を置いて、次の位に一を置くということのようだ。要は、一を三で割ったら商が三で、一余る。それをそろばん上にどう表現するかということなのだろう。

 四の段は、三の段までの操作の類推で対応できる。

 五の段の「五一」の操作部分は、「加一」とある。新しい表現だが、これは先に被除数一が置かれているところに更に一を加えるという意と思われる。なお、「塵劫記」では、ここを「倍双二(ばいそうに)」と表現されている。こちらは操作結果表記と解される。
 五の段全体は、この操作からの類推で対応できる。

 二一  天作五  「にいちてんさくのご」 
 逢二  進一十  「にしんがいっしん」 

 三一  三十一  「さんいちさんじゅうのいち」
 三二  六十二
 逢三  進一十 

 四一  三十一
 四二  天作五
 四三  五十二   
 逢四  進一十              

 五一  加一  (倍双二)                   
 五二  加二  (倍双四)
 五三  加三  (倍双六)
 五四  加四  (倍双八)
 逢五  進一十
by shingen1948 | 2018-11-18 11:43 | ◎ 地域散策と心の故郷 | Comments(0)