地元学でいう「風の人」として足元を見つめたり、できことを自分の視点で考えたりしています。好奇心・道草・わき道を大切にしています。


by シン
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熊阪台州氏(その2)45~高子山の「高子二十境」⑥

a0087378_939966.jpg この「龍脊巌」の案内柱は、駅前に掲げられる「高子二十境遊歩道案内」で示される位置にたつものだ。先に「高子20境『龍背巌』と首塚」で整理したのは、そちらだ。
 https://kazenoshin.exblog.jp/9390709/
 公的機関が配る散歩コース案内では、こちらが案内される。

 今回参考にさせていただいている「伊達の香り」では、その四番「龍脊巌」は、高子山の西稜線の岩場をイメージさせる。今回は、こちらをイメージしながら整理し直す。

 「龍脊巌」は、確認するまでもなく龍の背をイメージするような岩場ということだろう。
 「伊達の香り」の「二十境の漢詩鑑賞」では、こちらの詩歌は紹介されていない。それで、「谷文晁、高子二十境図を描く(磯崎康彦)」をガイダンスにさせていただく。

 まずは、熊阪覇陵氏の五言絶句とその釈文とその解釈。

  龍脊巌 熊阪覇陵
  
  峻巌不可行   峻巌(しゅんがん)行くべからず
  如立飛竜脊   飛竜の脊に立つが如し
  欲踏浮雲進   浮雲を踏(ふ)みて進まんと欲すれば
  天風生両脇   天風両脇(りょうわき)に生ず

  峻巌(しゅんがん)のため進めない
  飛竜の脊にいるようだ
  浮雲を踏(ふ)んで進もうとすると
  両脇(りょうわき)に天風を感じる

 次に、熊阪台州氏の五言絶句とその釈文とその解釈。

   同前 台州
  
  独歩峻巌巓(しゅんがんてん) 独歩す峻巌の巓(いただき)
  孤筇凌紫烟         孤筇(こきょう)紫烟(しえん)を凌(しの)ぐ
  忽疑立竜脊         忽(たちま)ち疑う竜脊に立つかと
  却憶葛陂仙         却(かえ)って憶(おも)ふ葛陂(かっぱ)の仙 

  峻巌(しゅんがん)の巓(いただき)を独歩する
  紫烟(しえん)のなか一本の杖にたよる
  ふと竜の脊にいるかのよう(に思う)
  葛陂(かっぱ)の仙の話を思いだす

 ここでいう「葛陂(かっぱ)の仙」は、葛洪著「神仙伝」巻5の壷公(ここう)の話に登場する以下のような話なのだそうだ。
 町役人費長房(ひちょうぼう)は、壷公(ここう)に誠実さを認められて仙人の世界に入った。苦難のなか、悪臭のひどい糞尿を食べられなかった。
 壷公(ここう)は、費長房(ひちょうぼう)にこれ以上の仙道は無理と告げ、一本の竹杖を与えた。費長房(ひちょうぼう)は竹杖に乗って帰り、杖を葛陂(かっぱ)に投げ捨てると、それは青い竜であったという。

 更に、熊阪盤谷氏の五言絶句とその釈文とその解釈。

   同前 盤谷

  独坐竜巌上   独坐す竜巌の上
  欲学駕竜人   駕竜の人を学ばんと欲う
  翠標如出脊   翠標(すいひょう) 脊を出すがごとく
  青苔似振鱗   青苔(せいたい)鱗(うろこ)を振るに似たり

  独り竜巌に座し
  駕竜の仙術を学ぼうとした
  緑の枝は竜の脊のようであり
  青い苔は竜の鱗のようだ

 ここでも、中国の故事の知識が求められるようだ。
 ここでは、散歩人の素人感覚で、台州氏が「葛陂(かっぱ)の仙」をイメージさせたことで、「龍脊巌」のイメージに広がりと深まりをもたらして、それを盤谷が受けて結ぶという感じかなということで収めておく。
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by shingen1948 | 2018-05-10 09:41 | Comments(0)