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地元学でいう「風の人」として足元を見つめたり、できことを自分の視点で考えたりしています。好奇心・道草・わき道を大切にしています。


by シン
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高子から全国に発信される文学活動⑨~熊阪台州氏⑮

 自分の知識のなさを感じながら、とりあえず森鴎外が真間の手児奈は「蝴蝶」のことだろうとしたその元になる熊坂子彦の説とはどのようなものであったのかという問いに必要な予備知識を確認し終えたと思っている。

 その回答だが、地元の福島県立図書館がかかわっているようだ。
 福島県立図書館にレファレンスを依頼して、台州の著書『西遊紀行別録』巻之一 蝴蝶祠に以下の記述があるとの回答を得たとのことだ。
 ‘蝴蝶祠 即氐胡奈祠。按氐胡奈蝴蝶也。今南部津輕之間。呼蝴蝶爲氐胡奈。則知 當時此女子。以蝴蝶自命也。而先輩類不知其然遂至刪奈字爲氐胡。豈不誤乎。余 生乎千載之下。而始得諸方言。古所謂禮失而求諸野者。幾是乎。

 ここにある「今南部津輕之間。呼蝴蝶爲氐胡奈」の部分だが、「古語辞典」で、接尾語「な」の項に、「人を表す語に付いて親愛の意を表す」とあり、その用例として「真間の手児(てこ)な」=(伝説上の女性)」とあり、「上代の東国方言と考えられている」ともある。
 しかし、方言辞典で見る限り、青森県の「蝶」を「テガラ」・「テンガラ」と呼ぶとしか確認できなかった。
 ただ、言語学的には、この「テガラ」・「テンガラ」と呼ぶのは、蝶になる前の毛虫である「ヒヒル」が語源であり、蝶は「高く飛ぶヒヒル」の意から「タカヒル」や「タカエロ」に変化したといわれているようだ。更に、「テゴナ」あるいは「テビラコ」、「テンガラコ」と変化し、それが、青森でいう「テガラ」・「テンガラ」に変化しているという風に解説される。

 この古語から方言への変化については、おおむね言語学者の堀井令以知氏の説明によるらしいことも分かる。
 その堀井令以知氏は、大正14年生まれのようなので、今回確認した熊阪台州氏の説を元に、森鴎外氏が真間の手児奈は「蝴蝶」のことだろうとしたのが先にあって、それらを体系化した説ということになるのだろうと思う。

 なお、釣り道具の毛バリが「テガラ」と呼ぶことや、女性の蝶の髪型の根元につける装飾の布も蝶の形らしいが、これも「テガラ」と呼ぶという。これ等も同じ語源によるとのことだ。
by shingen1948 | 2016-12-27 09:43 | ◎ 地域散策と心の故郷 | Comments(0)