信夫山散歩情報の確かめ~信夫山の魅力と聖性の維持⑤
2016年 05月 09日

回りくどい言い方をしたが、畏敬の念を強く感じるのは、この立山の岩の中に祀られていることとかかわるように思うのだ。
先の整理では、この地の実際を確認しないで古峰ヶ原講について栃木古峰神社代参のイメージで整理した。根拠がなかったわけではなく、古峰ヶ原講と聞いて会津地方で行われている講と同じだろうとの思い込みで整理していたのだ。また、この古峯神社は北早坂地区を中心にかかわる神社だとの勝手な思い込みもあった。
今回整理していく中で、「福島市における祭礼空間の変容【松井圭介】」にこの地の古峰ヶ原講の実際が紹介されているのを見つけた。ただ、北早坂地区ではなく、岩坂地区の古峰ヶ原講についての解説だ。
この地区では、古峰ヶ原講は12軒で組織されているのだが、現在の参加戸数は6軒で、6軒は休止中とのことだ。その講の実際は以下のようだとか。
講の世話役は、当前(とうまえ)と呼ばれ、講員による輸番である。講は2月18日に当前宅で行なわれる。当前宅のことを宿(やど)という。当前が保管している講帳によると、岩坂地区における古峰ヶ原講は、江戸時代より連綿と続けられていることがわかる。当前、講員から当日に供する米(1kg)を事前に集めておく。当前には精進潔斎が求められる。以前には、講が始まる前に水垢離がとられていた。現在でも清めの意味を込めて入浴をする。当日は午前10時頃,講員が宿に集合し、講員から集められた米をついて餅にする。その後砂糖、ゴボウ、味口曾などを用いて調理した精進料理をいただく。以前はこれらの食材は、早番と呼ばれる講員の二人が、講に先立って買い出し をしていたが、現在では当前が準備をする。栃木古峰神社への代参講ではなく、山内に勧進されたこの古峰神社に参拝するための講ということらしい。多分、北早坂地区でも同様な講の運営が行われているということだろうか。
昼食後14時頃に、山内にある古峰神社に参拝する。参拝後再び宿で直会を行なう。直 会は17時頃にお開きとなり講は終了する。講中では旗や幟を所有している。講の参加費は1500円 である。この内の1OOO円は、祝詞をあげる神官に対する謝礼であり、500円は燈明料として当前のものとなる。