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地元学でいう「風の人」として足元を見つめたり、できことを自分の視点で考えたりしています。好奇心・道草・わき道を大切にしています。


by シン
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大河ドラマ視聴「八重の桜」~ 第33話 「尚之助との再会」

 大義を重んじる風土の中では、その行動は、大義的な美学に基づいているのだろうと想像する。従って、その行動とその心情とには遊離が生じるのだろうと思う。
 例えば、覚馬氏と離縁したうらさんだが、その心情は別にあったとしても、武家の娘や妻として潔く身を引く事が、とるべき行動だったのだと思う。娘を託すのは、山本家存続の行動として、家を中心とする規範に従ったのだろうと思う。
 ところで、結構権威のある雑誌の中で、覚馬と離縁したうらさんを窪田うらさんとするのがあった。権威に惑わされて、ちょっと心配になって確認したら、山本家の長女との混同らしいと思われた。
 山本家長女の窪田うら(浦)さんは、覚馬氏と近い年頃で、八重さんが生まれた時には、窪田氏に嫁いでいて、山本家には居なかったということらしい。素人判断では、そのうらさんと覚馬氏の伴侶のうらさんの混同と思われる。
 なお、その窪田うら(浦)さんも京都に移住していて、八重さんが譲氏とともに旅行で新島邸を空けるとき、よく留守居役で代わっていたという情報も「同志社資料室 追悼集」にあるらしいが、確認していない。こちらのうらさんは、覚馬氏の年上とも、2歳下とも混乱した情報が。

 戦後の尚之助氏と八重さんについても同様で、現実の行動と心情の遊離があるのだろうと思う。
 山本一家は、わずかな縁を頼って米沢へ出稼ぎするのだが、これも尚之助氏の縁だ。残された女世帯の生存に関わるぎりぎりの判断なのだろう。
 ヤーヤー一揆に見られるように、会津は地域として壊滅的な経済破綻をきたしている。ここに残留帰農するより、無血開城した米沢の方がよいという嗅ぎ分けもあったろうと思う。(廃藩置県の折、米沢では藩主が藩士達に財産を分与しているという情報も)。
 ここで、戸主になるべく長男が生存の情報を得るわけで、それを頼っていくことは、現実の行動としては、自然の流れなのだろうと思う。

 尚之助氏の行動が、八重さんを思う心情とも一致するのに対して、八重さん側の行動は、心情との遊離が想定される。そこを、ドラマでは、現実の行動にフィクションを加えることによって、この心情的な真実の方に迫ったように思う。
 スタジオパークで、綾瀬さんが、東京での再会の場面で、その日が長谷川博己さんの撮影最終日ということもあって、「とにかく悲しくて涙が止まらなかった」と語っていた。
 現実の覚馬氏や八重さんは、川崎尚之助氏について語らなかったとのことだが、どんな切羽詰まった理由があろうとも離縁を語らないのは、当時の価値観では当たり前なのだと思う。立場上語れるとすれば、それは母親の佐久さん位かな。
 今回の大河をきっかけに、川崎尚之助氏は、その人物像、開城後の行動が明らかになってきたのだが、その上に、ドラマで山本家の人々の心情的な真実に迫ってもらえて本望ではなかったかな。
 <尚之助氏略歴>メモ
 天保7年(1836)、但馬国出石藩(現兵庫県豊岡市)の川崎才兵衛の四男として誕生。
 藩の推薦により、江戸で米沢出身の蘭学者坪井為春の下で学ぶ。
 安政4年(1857)江戸で知り合った山本覚馬(佐久間象山の門下生)に、前年会津藩校日新館内に新設された蘭学所に請われて会津へ。
 万延元年(1860)、蘭学所から砲術部門分離されたことに伴い、砲術師範となり十三人扶持(就城老幼婦女子御扶持人別)。
 開城後、猪苗代謹慎から東京送りとなり(東京謹慎人別)、斗南藩へ移住。
 その後、ドラマで描かれる裁判に訴えられて東京で不遇な生活を送るが、この時、小森長政氏が支援したとの情報も。
 明治8年3月20日、肺炎で死去。遺骨は故郷の実家へ。

 ドラマの概要については、エキサイト「大河ドラマ 八重の桜」のページから、第33話「尚之助との再会」の粗筋をお借りする。
 http://tv.excite.co.jp/detail/nhk_taiga52/story_33.html
 「尚之助との再会」
 覚馬(西島秀俊)が仕えている槇村正直(髙嶋政宏)が、業務妨害の容疑で捕まり東京に拘留された。覚馬は、槇村の後見人である木戸(及川光博)に取り成しを頼むため、八重を連れだって東京へ向かう。覚馬の申し出は聞き入れられなかったが、時を同じくして起きた政府内の分裂によって槇村は釈放される。そして、勝(生瀬勝久)から居場所を聞いた八重は、尚之助(長谷川博己)の住む浅草へ行く。しかし、再会の場にいたのはやつれきってすっかり生気をなくした伴侶の姿だった。
 尚之助が斗南藩のために罪をかぶったことを知った八重は、夫の力になるべく再び共に暮らしたいと訴えるが、その思いはかなわなかった。
by shingen1948 | 2013-08-24 06:04 | 大河「八重の桜」視聴記録 | Comments(0)