地元学でいう「風の人」として足元を見つめたり、できことを自分の視点で考えたりしています。好奇心・道草・わき道を大切にしています。


by シン
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信夫の里の狐達⑧~再び御山の御坊狐

 散策の中で最初に信夫狐に接するのは御山の御坊狐だが、その話を知る限りでは単なるきつねの話でしかないと思える。それが、霊験あらたかな石ヶ森の加茂左衛門狐がいて、その加茂左衛門狐が認め、頼って修法する御山の権坊という関係性を通して、すごい力を持った御坊狐に変身する。
 その上で、この権坊狐の話を聞くと、奥の深い権坊狐がイメージされる。そういう関係性があるように思う。

 石ヶ森の加茂左衛門狐の整理の後に「再び」御山の御坊狐に戻って整理するのだが、その視点で日本の民話13(未来社)【福島の民話(片平幸三)】第一集を確認すると、さすがだと思う。
 信夫狐は、御山の御坊狐がメインで紹介されるのだが、最初に紹介されるのは加茂左エ門狐の話だ。御山の御坊狐が登場するのは2番目だ。
 しかも、化け方を紹介されるその場所は、御山の裏側のガサブだ。
 おやまのごんぼうぎつねの化け方は、大したものでした。こんな話があります。
 ある男が、きつねの化けるのを一度見たいと思っていました。そこで、ガサブどおりを歩いて行けばみられると思って、出かけました。
 するとむこうから女の人がきました。あれはきっと狐にちがいないとおもった男は、心の中でにやりとして近くのくさむらの中にかくれて女をやりすごし、あとからついていきました。ところが、しばらくすると、女は後をふりむいて、
 「私をなんだかしっていますか」
といいました。
 「わかっていっとも」
 男がそういうと、若い女は
 「私はいままでずいぶんと人間をだましてきましたが、あなたにはかないません。どうしてもだますことができないのです」
 「それはあたりまえだ」
 「それでは、きつねがどんなにして人をだますかお見せしましょう」
 「それを見たいと思って、ここまで来たんだ、どうか見せておくれ」
 女の人は、道のそばにおちていた馬のわらじをひろって、
 「これは馬のわらじだが、見ていておいで」
といったかと思うと、いつのこ間にかわらじはきれいなじゅう箱になっいてました。
 「こんなことぐらいわけないよ。あら、ここにまぐそがおちている、これは餅にしてみせるよ」
というと、まぐそをひろって、手の上でころころころがすと、まぐそはなんとぼたもちになったのです。

 あんたは黙って見ていてくださいね。私はこの家の娘に化けますから、そして里帰りに行ってきたといっていきますから」
といいながら、戸をあけて入って行きました。
 以下略すが、その後、男は障子の穴から家人が騙されるのをそっと覗いて見ていて、おかしくてしかたがなかったのだか、実は、その自分も騙されていたという話だ。
 びっくりして気がつくと、いつの間にか夜が明けて明るくなっていました。そしてどこだか知らない家の前の壁によりかかっていたのでした。
 お山のごんぼうは、こんなにして人をばかしていたのです。

 【福島の民話(片平幸三)】では、このごんぼうぎつねは、「ガサブ」のほら穴に住んでいるとする。
by shingen1948 | 2013-03-02 06:44 | ◎ 地域散策と心の故郷 | Comments(0)