2012夏の頃~「今から思えば」の資料(つぶねた)を拾う⑬
2012年 09月 04日
「放射能地域の人、結婚しない方が」公益法人会長が講演【朝日新聞(2012/8/29)】」「生態系協会長の不適切発言で福島市議、訂正文要求へ【福島民友(2012/8/30)】」では、ここに、福島市議団の対応として、発言の訂正を求める文書を送付し、池谷会長の対応を静観する姿勢を示したことの情報が加わる。更に、池谷会長の対応として、マスコミ各社に「政治塾における私の発言について」と題した文書と、講演録の抜粋を配布したことが付け加えられている。その内容は、以下のようだったとか。
福島市議会の佐藤一好議員らは29日、記者会見し、公益財団法人・日本生態系協会の池谷奉文会長が東京電力福島第一原発事故の影響について話した7月の講演で「不適切な差別発言をし、容認できない」として、訂正を要求することを明らかにした。
佐藤市議らによると、池谷会長は講演で「福島の人とは結婚しない方がいい」「福島では発がん率が上がり、奇形児が生まれる懸念がある」と述べたという。
協会側の説明や記者が確認した録音によると、池谷会長は、福島のほか原発事故で一定の放射能汚染を受けた関東地方の県名をあげ、地域の地図を示しながら「放射能雲の通った地域にいた方々は極力結婚しない方がいいだろう」と発言。「結婚して子どもを産むと、奇形発生率がドーンと上がる」などと話した。
池谷会長は朝日新聞の取材に、「被曝(ひばく)で遺伝子損傷と奇形児出産のリスクが高まることを訴えた」と説明。「一般論として私の見解を話した。差別する意図はなかった」と話した。
講演録には「これから内部被ばくがどうしようもない。放射能雲が通った、だから福島ばかりじゃございませんで栃木、埼玉、東京、神奈川あたり、あそこにいた方々はこれから極力、結婚をしない方がいいだろうと。結婚をして子どもを産むと、奇形発生率がどーんと上がることになる」などの発言が記載されていた。その上で、池谷会長は文書で「被害の深刻さについて私見を述べた。全国的な問題で、福島の人を差別するようなことは思ってもいないし、申し上げたこともない」と釈明したとか。
「不適切発言」と思われる部分を抜いて発言内容を整理すると、「これから内部被ばくがどうしようもない。放射能雲が通った福島、栃木、埼玉、東京、神奈川あたりで、奇形発生率がどーんと上がる」ということらしい。
なお、朝日新聞がいう「放射能地域の人」というのが、「放射能雲が通った福島、栃木、埼玉、東京、神奈川あたり」ということのようだ。
それなら、昨日整理した「県民の遺伝情報解析へ 子ども中心、13年度から【福島民友(2012/8/31)】での問題意識と変わらなそうとも。
「生態系協会長 発言認める 「差別と思っていない」【福島民報(2012/8/30)】では、「奇形発生率」については、以下のように報じている。http://www.minpo.jp/news/detail/201208303361
結婚して子どもを産むと奇形発生率が上がるとした発言について、県放射線健康リスク管理アドバイザーを務める長崎大大学院の高村昇教授(放射線医療科学)は「科学的根拠がない。県民が心配する必要は全くない」と断言した。
チェルノブイリ原発事故後の健康影響について国連科学委員会が昨年出した報告書でも、胎児への遺伝的な影響は科学的に認められないとしているという。
原爆被爆者のデータも同様で、「事故当時に県内にいたという理由で出産や結婚を避けることはあり得ない」と述べた。
今回の会長発言について、前後関係が分からず意図ははっきりしないとした上で「一般論では専門家が一般の人を対象に説明する場合、国際的、科学的にコンセンサスを得られた事項を基に話をするべきだ」とした。また、「長崎、広島の被爆者も根拠のないことで差別された。21世紀の現代に繰り返してはならない」と主張した。
首都大学東京大学院の放射線科学域長を務める福士政広教授(放射線安全管理学)は「現在の放射線量は遺伝的な影響を及ぼすようなものではない。社会的な混乱を招くような発言で、非常に違和感を覚える」と話している。
県放射線健康リスク管理アドバイザーが、「チェルノブイリ原発事故後の健康影響について国連科学委員会が昨年出した報告書でも、胎児への遺伝的な影響は科学的に認められない」というのに、福島県民の遺伝情報解析はするという論拠が見えにくいとも思う。
「生態系協会長の不適切発言で福島市議、訂正文要求へ【福島民友(2012/8/30)】」
http://www.minyu-net.com/news/news/0830/news2.html
日本生態系協会(東京都)の池谷奉文会長が県民に対して不適切な発言をしたとされる問題で、池谷会長の発言を聞いたとする福島市議らは29日、同市で記者会見を開き、池谷会長に発言の訂正を求める文書を30日に送付すると発表した。
会見には、7月に都内で開かれた同協会主催の講演会で、不適切な発言を聞いたという4市議と粕谷悦功議長らが出席。4市議は「発言を到底容認できない」として、講演会の出席者全員に発言訂正文の送付を求める文書を池谷会長に送ることを明らかにした。また、「池谷会長の良識と判断を信じたい」と、今後は具体的な行動は起こさず、池谷会長の対応を静観する姿勢を示した。
一方、池谷会長は同日、マスコミ各社に「政治塾における私の発言について」と題した文書と、講演録の抜粋を配布した。講演録には「これから内部被ばくがどうしようもない。放射能雲が通った、だから福島ばかりじゃございませんで栃木、埼玉、東京、神奈川あたり、あそこにいた方々はこれから極力、結婚をしない方がいいだろうと。結婚をして子どもを産むと、奇形発生率がどーんと上がることになる」などの発言が記載されていた。その上で、池谷会長は文書で「被害の深刻さについて私見を述べた。全国的な問題で、福島の人を差別するようなことは思ってもいないし、申し上げたこともない」と釈明した。池谷会長は同日、福島民友新聞社の取材に対し、市議から送付される発言訂正を求める文書については「文書を見てから対応を決めたい」と語った。