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地元学でいう「風の人」として足元を見つめたり、できことを自分の視点で考えたりしています。好奇心・道草・わき道を大切にしています。


by シン
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2012夏の頃~「今から思えば」の資料(つぶねた)を拾う⑨

  <菊池哲朗の世相診断>「『県民の健康調査』日本、人類への貢献【福島民報(2012/2/1)】」を「今から思えば」の資料(つぶねた)として固定しようという意識はそれ程強くなかった。その意識を強めたのは<菊池哲朗の世相診断>「『福島の経験・情報』世界、人類の歴史に 【福島民報(2012/8/1)】を見たからだ。http://www.minpo.jp/news/detail/201208012811
 大きな違いは、人類貢献の対象が日本から世界に広げたが、その他の主旨は大差ない。構造的には、『県民の健康調査』=『福島の経験・情報』とし、「人類への貢献」が、「人類の歴史に貢献」になっているに過ぎない。

 「日本、人類への貢献」の以下の部分に相当する部分を拾い、見比べる。
 いずれどうせまた世界のどこかで起こるであろう放射能被害に備えて、健康被害の有無を含めた情報を蓄積しておくことは、人類への貢献なのだ。それはとりもなおさず日本のあるいは日本人の、人類に対する医療的な社会倫理的な責任で、つまり医療制度全体のまさに根幹だ。

 「世界のどこかで起こるであろう放射能被害」に、「世界では、これから数百基の原発建設が予定されている。」からという理由を付加し、「その時に備え準備をわれわれがしておく。」とする。ここに微妙に「われわれが」という主語を挿入するのは、「私も新センター基本構想に関係しているが」という福島市出身という肩書で掴んだ役職がかかわるらしい。これで、自分も福島にかかわるという事を強調し、(自分のかかわる)「この歴史的大プロジェクトの成否は完全に県民の協力にかかっている。」と結ぶ。そして、「モルモットにするつもりか-などといったレベルで抵抗することではない。」と説得する。文章全体は、以下の通り。
 しかし、現実にそのためまず手始めに行った第1次全県民アンケート調査の結果は、回答率がこれから追加的に頑張っても3割に届かない。絶対的にこれは県民の協力姿勢に依存している。モルモットにするつもりか-などといったレベルで抵抗することではない。世界では、これから数百基の原発建設が予定されている。いつかどこかでまた原発事故は起こる。その時に備え準備をわれわれがしておく。
 福島以外今、地上で他にそれをできる人がいないからだ。そのために世界中から人材を集めなければいけないし、30年以上にわたり数千億円を使う新産業育成など波及効果が大きい巨大プロジェクトも必要だ。私も新センター基本構想に関係しているが、この歴史的大プロジェクトの成否は完全に県民の協力にかかっている。
(前毎日新聞社主筆、福島市出身)

 更に、この方は、この前の月(7月18日)には、「【原発事故調査】「人災」説の落とし穴」と題して、「人災」説をもてはやして都合よいのは誰か?ということで、今までの日本の深いところで国のシステムを支えてきたエネルギー産業全体が崩壊する事になるという警告をする。その肩書は、「前毎日新聞社主筆、福島市出身」だが、どう見ても東京目線。「前毎日新聞社主筆」はよいが、出身地福島市という肩書と目線の違和感があって後追いをした。ただ、この出身地を持って、「(福島の)新センター基本構想に関係」を勝ち取るたくましさはさすがかな。



 <菊池哲朗の世相診断>
 「『福島の経験・情報』世界、人類の歴史に 【福島民報(2012/8/1)】

 ロンドン五輪の開会式でイギリスが世界に見せたのはその歴史と物語だった。ヒストリーとストーリーは極めて近い言葉だ。国や民族あるいはそこに住んでいる人たちが積み重ねる物語が織りなすのが歴史で、それは宝なのだ。
 今福島でつくられている無数の物語もいずれ歴史としてつづられていく。その一つ一つの物語が一番大事で、そこにこそ一人一人の貴重なたった一度の人生がある。福島原発の事故という人類史上初めての経験が福島の住民に襲い掛かっている。
 政府や県や市町村の対応もしょせんは、資金量と実行する人材がどれだけいるかに依存している。絵に描いたようには進まない。それを知っているわれわれは、きれいごとでなく現実の損得に最大限敏感になる。それが正しいことで生きるということだ。
 その集積が後で歴史になって残る。チェルノブイリでも原発の大事故があり、放射性物質が地上に降り注いだ。今回その経験は福島で最大に役に立つと期待したが、期待ほどでなかった。理由はたくさんあるが、十分に信頼できる大量のデータ蓄積と調査結果が必ずしもなかったことが大きい。
 対応策として日常的な食物の扱いとか非常に参考になったが、せっかくの貴重な情報も生活習慣や意識の違いから、こちら側が受け入れないものもあった。例えば、残存放射能の安全レベルを厳しくしすぎると、結果的にコミュニティーを崩壊させ、実質的に放射能よりも大きな被害が人々の心に出る-というチェルノブイリ研究からの警告は役立てなかった。
 その結果、チェルノブイリで悲劇の歴史があったが、それを後世に役立つ歴史として彼らは残せなかったと印象付けられた。当時は秘密主義のソ連だったこともあり、東西間の情報交換は難しかった。われわれはそれを繰り返してはいけないと思う。
 将来の福島、日本、世界の人類のために貴重な情報を集積し、残し、福島を放射能対応の世界一の地にすべく、将来図を描き、実行していく。その核として福島県立医科大学に新しく医療センターを造る手はずだ。
 しかし、現実にそのためまず手始めに行った第1次全県民アンケート調査の結果は、回答率がこれから追加的に頑張っても3割に届かない。絶対的にこれは県民の協力姿勢に依存している。モルモットにするつもりか-などといったレベルで抵抗することではない。世界では、これから数百基の原発建設が予定されている。いつかどこかでまた原発事故は起こる。その時に備え準備をわれわれがしておく。
 福島以外今、地上で他にそれをできる人がいないからだ。そのために世界中から人材を集めなければいけないし、30年以上にわたり数千億円を使う新産業育成など波及効果が大きい巨大プロジェクトも必要だ。私も新センター基本構想に関係しているが、この歴史的大プロジェクトの成否は完全に県民の協力にかかっている。
(前毎日新聞社主筆、福島市出身)

by shingen1948 | 2012-08-30 05:20 | ☆ 地域・自治話題 | Comments(0)