事故原因にかかわる報道の推移⑤~今からおもえば52
2011年 05月 21日
それが、情報発信者の姿勢だったように思う。
しかし、実際には1号炉では地震発生後、直ぐにその避けるべき危機を迎えていたということだ。 2ヶ月間、どんなことがあっても避けなければならないとしてきた全炉心溶融の危機は12日にはすでに起きていたということのようだ。
実際は別にして、構図としては東電も国もその状況を把握していなかったということだ。
これが、派手な報道になった理由だろうか。
直接その被害にかかわる情報の受け手にとっては、この派手な報道の方に違和感を覚える。各報道機関が驚いたとして報道していることが不思議なのだ。
報じる方は、1号機の炉内では11日夜から水位が低下していることを知っているはず。
水を大量に入れても、増水しないという報道も見たし、窒素ガス注入時も、圧力が増さなかったという報道も見た。恐らく、この時点で穴が開いていると想像したはずだと思う。
我々には分からなくても、報じられた方々は、水で冷やせない状態が続いていたなら、そうなっていたということは常識的だったはずだ思うのだ。
この水の行方についても不思議な報道だった。
地下の水の流れが確認されるまで、注入された水がどこに流れたか分からなかったとされていた。
だからだろうか。
派手な報道の割には、テレビで解説する専門家も、この情報で驚かなかったと平気で言っていた。
実際は、この事態は誰もが予想していた事なのだと思う。それでも、公式に東電と政府が分からない事にしている以上、各報道は自己規制でそれに合わせておいたという事だったのではないかと勝手に思う。
多分、本当に驚いたのは、東電があっさりと認めてしまったことなのではないのだろうかと想像する。それで、各報道は全炉心溶融を初めて知ったように体裁を整えて報じなければならない苦境に立たされたということなのではないかと、勝手に思う。
派手な報道は、そのためだったと勝手に思っている。
直接その被害にかかわる情報の受け手にとって恐ろしいと思うのは、国が2ヶ月間、公式には1号機で何が起きているか分からないという態度を許していきた事。
それにもう一つ、東電と政府が公式見解を示さない以上、嘘でも事実のように情報を受け続けさせられる体制が固まっている事。