地元学でいう「風の人」として足元を見つめたり、できことを自分の視点で考えたりしています。好奇心・道草・わき道を大切にしています。


by シン
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「武士の家計簿」視聴記録

 2日、福島フォーラムで「武士の家計簿」試写会があった。
 この映画は、ベストセラーになった歴史教養新書「武士の家計簿(磯田道史著)」の映画化だ。NHKのテレビ番組でみたことがあった。
 この原作の基になり、題にもなっている家計簿は、加賀藩の御算用者(経理担当)の下級武士「そろばん侍一家」のものだ。そこに残された記録は、かなり詳細なものだったらしい。番組では、「家計簿」を読み解く学術調査から、その時代背景とからませ、一武士家族の生活ぶりを浮き上がらせたことが紹介されていた。
 無味乾燥な古文書から、幕末の体制崩壊という時代背景の中で、懸命に生きる姿として読み解くことに感心したものだった。
 今度は、その家族の生活を映画という手法で実像をより具体的に浮かび上がらせるということのようだ。
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 舞台は、幕末の加賀藩。
 その御算用者の猪山家八代目の直之は、トラブルに巻き込まれそうになりながらも順調に出世する。直接的には描かれないが、当時の武家社会では身分は高くなっても出費も増えるという構造になっていたようだ。ともかく、出世しても家計は厳しいままだ。
 直之は、その困窮極める我が家の財政難を憂い、知恵と工夫で日々の生活を乗り越える。この工夫が、徹底的した家計切り詰めであることを描く。
 更に、家の骨董品や着物、蔵書も売り払い、借金返済にあてるのだが、これもまた生半可なものでない。
 それに、物語の基にもなっている「家計簿」だ。これも、細かい記録というにとどまらないことが描かれる。家庭の催事もかかった経費は其の日のうちに記録するという徹底ぶりだ。
 「そろばんバカ」と揶揄される程生真面目で一本気な直之が、当時の武士としては異例の決断を下す。この体面を無視した徹底した節約ぶりを、倹約前と倹約後の様変わりを対比して描かれることで、つい笑ってしまう。
 激動の時代を生きる下級武士の日常だが、その仕事は城詰めなのだが、内容が広間に集って黙々とそろばんを弾くということに、おかしさを感じながらもリアリティーを感じる。
 滑稽さの中に、激動の時代を世間体や時流に惑わされることなく、つつましくも堅実に生きた猪山家の絆と家族愛が浮かび上がる。

「武士の家計簿」の映画詳細、映画館情報はこちら >>




エキサイトシネマ「武士の家計簿」解説

作品のあらすじと解説
 幕末から明治にかけて、激動の時代を知恵と愛とそろばんで生き抜いた親子3代の物語。
 古本屋で偶然見つけられた、ある古文書。それは、武士の手で精密に綴られた家計簿だった。鮮やかによみがえる下級武士の暮らしぶり。幕末から明治へ、世の中の秩序も価値観も大きく変わっていく時代、代々加賀藩の御算用者(経理係)として仕えた猪山家の跡取り息子として、猪山直之は家業のそろばんの腕を磨き、才能を買われて出世する。しかし、当時の武家の慣習によって出世する度に出費が増え続け、ついには家計が窮地にあることを知った直之は、ある“家計立て直し計画”を宣言する。それは、家財を売り払い、家族全員で質素倹約して膨大な借金の返済に充てることだった。体面を重んじる武士の世にあって、世間の嘲笑を浴びながらも、知恵と工夫で日々の暮らしを前向きに乗り越えようとする猪山家の人々。見栄や世間体を捨てても直之が守りたかったもの、そしてわが子に伝えようとした思いとは…。
 武士の家計簿「金沢藩士猪山家文書」から幕末の武士の生活を生き生きと読み解いた、磯田道史著「武士の家計簿「加賀藩御算用者」の幕末維新」を映画化。監督は常に時代を様々な角度から切り取り、家族の在り方を描いてきた森田芳光。主人公・猪山直之を幅広い役柄で次々と新たな顔を見せる演技派・堺雅人、直之を支える献身的な賢妻・お駒を仲間由紀恵が演じる。(作品資料より)

 キャスト&スタッフ
 監 督  : 森田芳光
 原 作  : 磯田道史
 出 演  :堺雅人/仲間由紀恵/松坂慶子/西村雅彦/草笛光子/中村雅俊
 ジャンル : 邦画  | 任侠/時代劇
 製作年 : 2010年
 製作国 : 日本
 上映時間 : 129分

Commented by TUKA at 2010-12-04 17:45 x
私も原作を読んでましたが、まさか映画化されるとは思いませんでした。
維新以降の様子も大変興味深いものでしたね。
Commented by shingen1948 at 2010-12-11 03:50
単なる文書から、そこに生き生きとした人間を浮かび上がらせるというのは見事ですよね。
 映画は、大村氏とのかかわりで海軍の経理にかかわった息子が語るという視点で描かれていました。更に、その子供たちは海軍にかかわったというエンドロールが流れました。
 幕末と明治初期ということで、視点は違うのですが、最近興味をもった物語と重なる時代背景というのも面白いと思っています。
by shingen1948 | 2010-12-04 05:49 | ☆ 映画話題と視聴記録 | Comments(2)