人気ブログランキング |

地元学でいう「風の人」として足元を見つめたり、できことを自分の視点で考えたりしています。好奇心・道草・わき道を大切にしています。


by シン
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

「家のあひ」よりほとばしる滝を求めて

 湯野の温泉の詳細にこだわったのは、子規にかかわって分からないことがいくつかあるからだ。

 「涼し」をテーマに芭蕉を追う子規は、飯坂温泉に宿泊する。そして、次の日小雨降る中、十綱橋まで朝の散歩をする。その時に、勢いよく流れ落ちる滝のある湯野側の風景に感心している。
 「はて知らずの記」では、「向かい側の絶壁によりそって、三層楼が立ち並ぶ間から、一條の飛爆玉を噴て走り落ちるのも珍しくいい景色だ」と、湯野側の景色を描写している。
 しかし、飯坂では十綱橋や鯖湖湯を訪れた子規は紹介されるのだが、この子規が感じた湯野側の風景についてのヒントを得ることができないのだ。

 その「三層楼が立ち並ぶ間から、一條の飛爆玉を噴て走り落ちる」のは、西根堰の調整水路から摺上川に側に水量調整のために排水された水だろうということは直ぐに想像がついた。
 子規が訪れる7年前の明治19年に西根堰まで湯野側の道が拡張されている。
 それまでの飯坂側からみた湯野の景色は、切り立った山の中に、北側の「狐湯」・中央の「切り湯」、そして橋の辺りに「下の湯」の湯けむりが上がるという山の風景だった。
 その山を、やや奥まった所を走る西根堰まで削り取って道を広げたのだ。したがって、その西根堰から上の高台の崖はむき出しになった風景だったはずだ。
 そこに、新たな旅籠が立ち並びはじまったというのが、子規が訪れて目にした湯野側の景色だと思う。
 その中に摺上川に流れ落ちる滝があって、これが見事な風景と見えたのだろう。
a0087378_5535277.jpg 
 そんなことを想像しながら湯野側の風景を眺めてみるが、この調整水路から流れ落ちる滝も、今は旅館の影になってよく見えない。
 それでも、木々の間からそれが僅かに見えるスポットがある。


 眺めているのは覗き込んだ小さな景色だが、その想いは、この滝を隠すような建物もない広々とした景色の中に流れ落ちる滝だ。

 涼しさや瀧ほどばしる家のあひ

 子規から2年程時代が経ってここを訪れた鏡花も、この湯野側の「藤の花なる滝」に感嘆している。文人が共通に感じる風景なのか、それとも、鏡花が子規の影響を受けているのかは、分からない。
by shingen1948 | 2010-10-30 05:58 | ◎ 芭蕉の足跡 | Comments(0)