福島の建築
2010年 01月 19日
宮下町の「日本キリスト教団福島教会」は、明治42年(1909)で、「文化庁の文化遺産オンライン」によると、平成13年10月12日に国の登録有形文化財(建造物)に登録されている。
設計者のヴォーリズは、建築設計にかかわる方の間では評価は定まっていないものの、有名な方らしい。この教会は、その方が最初に手掛けた教会という事だ。
煉瓦及び木造平屋一部2階建、銅板葺、建築面積221㎡
正方形平面の礼拝部の北に内陣,南に集会室を突出して設けた集中式の教会堂で,集会室脇に鐘楼を付属する。木造による軸部の外に煉瓦壁を積んだ構造で,ゴシック式尖塔アーチによる窓を開ける。ヴォーリズの設計になり,同人が最初に手がけた教会堂とされる。
ヴォーリズ氏の経歴を確認すると、建設事務所を開設した次の年の作品ということになるようだ。
昔、子どもにここを題材に絵をかかせると、いい作品に仕上がるという話を聞いたことがある。
今は、描きたいと思う心を一義的に考えるそうだが、昔は、描かれるものの力も含めて評価される時代があったそうだ。その頃の話だ。
昔話だが、この建物が感性に訴える力が宿っているという事ではあるようだ。
その頃、子どもたちは、思い思いの方向からこの教会を描いたのだろうか。
「福島県の明治の建物」で、この建築にかかわる詳細をみた。
日本キリスト教団福島教会が福島に設立されたのは、明治19年で、この建物は、明治42年(1909)に新築された。
明治42年3月3日に、仙台で直接ヴォーリズ氏と会見して依頼し、5日ヴォーリズ氏が来福した。
4月上旬に設計図到着、7月5日に棟梁斎藤信吉氏と工事契約5400円、7月20日に着工、12月20日に竣工とのこと。
この街では、ある日突然いいなと思う建物が消え去る事が多い。
これは、福島市内に残った唯一の明治時代の煉瓦建築とも聞く。しっかり心に刻んでおきたいと思う。
※ ヴォーリズなお、福島新町教会も氏の設計によるものとのことだ。昭和2年(1927年)
明治13年(1880)アメリカ生まれ。
明治38年(1905)日本には英語教師として来日し、明治41年(1908)にヴォーリズ建築事務所を開設し、日本各地に学校、教会、YMCA、病院、百貨店、住宅など西洋建築の設計を数多く手掛けたとのことだ。
1941年(昭和16年)に日本に帰化してからは、一柳米来留(ひとつやなぎ めれる)と名乗ったという。