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地元学でいう「風の人」として足元を見つめたり、できことを自分の視点で考えたりしています。好奇心・道草・わき道を大切にしています。


by シン
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長久保遺跡出土縄文土器文様が課題

 「福島県考古学会」(2000.3月)で、「安達郡大玉村長久保遺跡出土の遺物について」という報告をみつけた。安達太良の埋蔵文化について、ちょっとだけ分かりかけてきたところだが、長久保遺跡というのには心当たりがなかった。
長久保遺跡出土縄文土器文様が課題_a0087378_3582527.jpg
 内容を確認すると、この遺跡についての正確な位置は記録になく、小字名から位置を特定したとのことだ。久保は普通は窪地にかかわっている地名だ。報告書に紹介されている地図の位置から、長久保遺跡は、県民の森入り口から入り、左カーブになったあたりと思われる。南側にくぼ地のある高台あたりかなと想像する。

 この報告は、直接的に遺跡調査が実施されだ出土品に関する調査ではなく、時代を比定するのに、大玉村に保存されていた出土品を調べたということのようだ。
 直接的な調査事実は、平成10年度に福島空港公園造成にかかわる関林A遺跡の調査だ。そこから出土した縄文土器が、安達郡大玉村長久保遺跡から出土した土器に似ていることから、時代を比定するために考察したということだ。具体的には、次のようなことのようだ。
 関林A遺跡からは、縄文時代前期中葉の小規模な集落跡と、縄文中期最初頭の墓坑が一基確認されたという。この墓坑から供献されたと思われる小型深鉢形土器が出土したのだが、その類例を探したところ、長久保遺跡の土器に酷似していたということのようだ。
 そこで、大玉村に保管されている長久保遺跡資料を徹底的に調べたという経緯のようだ。
この資料は、先に県の通史編に紹介されているということで、再提示ということだ。

 結論は、この土器の特徴の類似性から、縄文時代中期最初頭大木7a式に位置づけられるとのことだ。そして、猪苗代町法正尻遺跡出土のⅡ群1類土器新段階(大木6式)とⅡ群2類土器古段階(大木7a式)をつなぐものとのことだ。
 新段階の特徴である粘土紐の貼り付け、それに刺突を加える技法は、だれた状態で確認できるとのことだ。新段階は、横方向回転で施文した結節縄文だが、本資料は縦方向回転という前段階の技法が残っているが、新たな文様形成が見られるとのことだ。

 最近になって、縄文土器の技法や文様についての変化を見ていくことが、縄文時代についての常識であることが分かってきたところだ。出土品の観察点についてとその描き方について書いてある製図作業の本を見つけて、もう少し知識を得たいと思っていた。
 しかし、こちらの報告書の返却日が迫っているので、とりあえず内容を確認して、文様の特徴をコピーしておくことにした。後日、文様や製法の読み方を確認して比べてみたいと思っている。
by shingen1948 | 2008-03-14 04:38 | ◎ 埋蔵文化(古墳・それ以前) | Comments(0)