「働くことの意義」:若者が希望を持てる実態か。④
2007年 12月 06日
内容は、キャリア教育で、働く者の権利を教えようという神奈川県立高非常勤講師キャリアアドバイザー横山滋氏の主張だった。勝手に要約すと以下のような概略だ。
職場や労働環境は厳しさを増すばかりなのに、このままでは、若者は無防備なまま荒海に飛び込まされるようなものだ。働く者の誇りや権利についてしっかり学び、労働問題に立ち向かえるように、関係省庁は広く議論し直すべきだと結ぶ。
確かに、非正規労働を見直す動き加速」の記事の中に、現実には以下のような事例が起きていることが紹介されている。
○ データ装備費名目の不明な天引きは派遣ユニオンに集まった派遣労働者の団体交渉での追求でへんかんされ、多くの会社が徴収を止めた。
○ ファーストフード店のアルバイトの一方的な解雇と残業代の不払いを撤回させた。
昨年、NHK「知るを楽しむ」の「人生の歩き方」という番組で、「ど真剣に生きる」というテーマで、稲盛和夫氏の生き方を取り上げているのをみた。その中で、働くということに関して、経営の基本を「全従業員の物心両面の幸福の追求」と考えていることが印象に残っていた。もう一つが、「人類社会の進歩発展への貢献」とのことだ。
今、手元にあるある稲盛和夫氏の「心を高める経営を伸ばす」の著書の中で確かめると、企業の目的に気づくとして、以下のように述べているところがある。
私は、経営の基本を自分の技術の試行ということから「全従業員の物心両面の幸福の追求」と、「人類社会の進歩発展への貢献」に変えたのです。
そして、これ以外に企業の目的企業の目的はないと、私は思っていますと言い切っている。
会社を経営なさる方は、どなちもこのような理念を持つことを理想としていらっしゃると思っているということを前提に今までのキャリア教育は、構築されていた。確かに、京セラのホームページで、社是を確認すると、今も以下のように同じ経営理念が示されている。
全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること。
しかし、最近の報道から、これは限定されたごく一部の企業でしかないという現状であることが分る。横山氏は、キャリアアドバイザーという立場から、若者に接していた方々は、そのことを早くから感じていたのだろうと思う。確かに、氏の言うように現状を踏まえたキャリア教育に改変することが必要になっていると思う。