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地元学でいう「風の人」として足元を見つめたり、できことを自分の視点で考えたりしています。好奇心・道草・わき道を大切にしています。


by シン
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全国学力テストに不参加の信念~犬山市の教育改革評価について

検証・地方分権化時代の教育改革 教育改革を評価する―犬山市教育委員会の挑戦 | エキサイト商品情報
全国学力テストに不参加の信念~犬山市の教育改革評価について_a0087378_5171474.jpg
今回の全国学力テストに参加しなかった「犬山市教育委員会」の教育改革を評価する冊子を見つけた。岩波ブックレット№685「教育改革を評価する」~犬山市教育委員会の挑戦だ。
この調査は、犬山教育委員会の組織した検討委員会と東京大学基礎学力研究開発センターに設置されたプロジェクトチームの協力のもとで進められた。
方法は、教員・児童生徒・保護者に質問紙による調査で、調査対象は、犬山市全市の小中学校だ。
この改革を取り上げた理由を次のようなこととしている。
① 世間の耳目を集める奇抜で派手なパフォーマンスはほとんどないこと。
② 現行制度の枠組みの中で、義務教育として果たすべき学校の役割を市内総ての学校で、教師の専門性を高めることで、最大限実直に発揮する方向へと教育現場を支援し、宝庫うずけている。
 つまり、あたりまえでまっとうな姿へと公立小中学校の教育を引き戻すことを「改革」の名のもとに行われていること。もっと言えば、それぞれの取り組みが相互に関係しながら、体系だったシステムとして行われた改革であるということのようだ。

  この冊子を参考にしたかったのは、評価に先立つ、認識の固めかただ。何をもって、どうなったときに、どう評価すればよいのかを確立している。

  例えば、それぞれの立場の認識を固めておく。

  その一つは、地教委の立場に二つの側面があることを認識しておく。
① 上位の行政組織から市が権限をいかに譲り受けるか。
② 学校現場とどのような関係を結ぶか。
その認識に基づく「事務局の強化」と「授業改善と学校運営改善を連動させた学校の自立」をめざす改革であることの大切さの認識である。

  二つ目は、調査では、「学び合い型授業」を作業を通して明確にし、いろいろなファクターから考察していることである。
  教師の意識調査においては、地教委と同じように、以下の教師の二つの側面を考慮している。
① 教育改革の担い手である側面
② 教育改革の対象としての側面
 教師は、自らの二面性を引き受けながら、日々を過ごす存在であることの認識である。

  犬山市の改革は、これをわきまえ、教師が行う日々の教育実践を支援し、独自の教育現場に根づかせるように試みているという。つまり、次のような手順を踏んでいるという。  
まず、教師の意欲と情熱に改革の火をつける。そして、日々支援する改革の「火」をつける。ひとたび火がつけば、教師達は改革を牽引する担い手になるという認識である。

  更に、保護者の意識に置いても次の「よい方向」の二面性を考察している。
① 高い学力に主眼を置く改革
② 授業理解度格差の拡大を防ぐ改革(少人数による学び合い)
  声はあげずともまっとうな義務教育を必要としている家庭の子供達に資する改革の必要性を示唆する。そして、より高い見識に立つ教育の専門性と保護者の声のどちらに重点をおくかと問う。

  改革の成果と課題についての考察では以下の点が参考になる。
① 「学び合い」が、教育格差の歯止めになっていること。
② 多様な意識の教師群にも、有効に改革の取り組みが機能するのは、教師間の同僚
 性の下地
が下支えになっていること。

  全国学力テストに参加しなかった理念が納得できる。
by shingen1948 | 2007-05-05 05:39 | ☆ 教育話題 | Comments(0)