石井筆子の障がい児教育~「筆子その愛」を観て
2007年 03月 10日
福島フォーラムで、「筆子 その愛~天使のピアノ」を観た。フォーラムの映画紹介では、次のように解説されていた。
「障がい者教育の母とよばれた石井筆子の生涯」
藩士の娘として生まれ、その美貌と知性で『鹿鳴館の華』といわれた石井筆子。彼女は知的障がいを持つ長女を持ち、夫と共に日本初の知的障害者施設「滝乃川学園」と社会福祉に生涯を捧げた人物でもあった。社会的弱者の尊厳を求め生きた彼女の愛と忍耐の日々を綴った人間ドラマ。
石井筆子役には常盤貴子、石井亮一役には市川笑也、父親渡辺清役には加藤剛、サト役には渡辺梓、その他、平泉成・小倉一郎・石濱朗等が出演する。ナレーションは、市川悦子、監督・脚本・製作は山田火砂子。リアリティーを出すためか、実際に障害を持つ子供達が出演していた。
内容は、明治時代に、障害児教育を実践した夫を支え、日本の社会福祉に貢献した石井筆子の生涯を描いたものだ。
筆子がこの道に進むのは、わが子が障がいをもつ子どもであったことが大きい。長女幸子は知的障害・次女康子は虚弱児で生後まもなく死亡。三女恵子は結核性脳性脳膜炎で死亡。
華やかな前歴とは対照的である。
筆子は、明治維新の志士で福岡県令・元老院技官等を歴任した男爵の子である。東京女学校卒で、津田梅子と共に日本初の女子海外留学生になり、帰国後は、華族女学校フランス語教師となり、後には、静修女学校校長就任した。教え子には、貞明皇后がいた。社交界では鹿鳴館の華でもあった。
筆子の障害児教育実践の始まりは、長女幸子を石井亮一創設滝乃川学園に預けてからである。支援活動をしているうちに、亮一の活動と人間性に引かれる。親族の反対を押し切って再婚し、周囲の醜い仕打ちを受けながら知的障害児の保護と自立教育に没頭するのだ。
映画では、彼女の活動が継続できたのは、地位が高かったことが大きかったことも忠実に描いている。財界とのつながり、貞明皇后が教え子というように、支援が得やすかったこと。
しかし、筆子のすばらしさは、情熱である。ここは省略して、教え子の成長や助かった母親の浄財が支えという描きでもよかったようにも思う。
現在は、障害児教育は進展しているし、差別も少なくはなっている。しかし、根底にはまだまだ差別感を克服したとは思えない。自立は、現在も大きな課題だと思う。
映画で初めて石井筆子を知ったので、調べてみた。
「無名の人石井筆子の生涯」というドキュメント映画もできていた。滝乃川学園は現在も運営されていた。石井家の親族が作るホームページもあった。
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