平成の大合併後の地方の生きかた
2007年 02月 11日
岩波ブックレット№693保母武彦著[「平成の大合併」後の地域をどう立て直すか]で、この問題と一見すると無関係と思われる夕張市財政破綻問題に、一項目を設ける。その題は、「見せしめに政治利用される夕張市財政の破たん]としている。
町村合併問題は、コミュニティーのあり方という本質的な問題に、三位一体一体改革という経済の問題を複雑に絡み合わせて推進された。この絡ませた、三位一体一体改革という経済の問題の象徴的な事柄が、夕張市の問題であろうか。
フラガールのいわきと対照的に、夕張市は問題をのりきれない印象を受ける。しかし、どちらも国のエネルギー政策の犠牲で崩壊し、その建て直しの話の続きである。夕張が、いわきと違ったのは、その時の北炭が、国策転換を行った国と共に責任を持って処理を考えることをしなかったということだ。それを引きずっているのに、夕張市の無能力を象徴する報道によって、この時のことまで、夕張市の責任である印象を受けるように構造化されていることが分かる。
更に、夕張市は、勿論、リゾート企業撤退後の後処理負担の問題を抱えるが、もう一つ、三位一体の改革による地方交付税の減少問題が絡んでいるのだ。そういったことを抱えているのに、合併促進の起爆剤に、自治体破綻法の見せしめにする意味合いの動きも感じる。そのことを、本書は指摘している。
そういった中、2007年2月11日(日)「毎日新聞」は、「地域格差を問う07.統一地方選」という連載の中で、政府の自立促進路線の方針と夕張市の問題を絡めて報道している。
そこでは、「夕張」の原点は03年とし、小泉改革によって地方格差が派生していった状況と三位一体一体改革による地方交付税の問題に触れ、そのことと「頑張る地方応援プログラム」についての関連を報じていた。
見せしめとしての夕張問題、三位一体一体改革と地方交付税の問題、それらと、「頑張る地方応援プログラム」を絡ませてこの記事を読んだ。そして、やや懐疑的に、平成の町村合併の真の課題はどうなるのか、地方はどう生き延びるべきかなどと考えさせられた。
「<地域活性化>職員派遣の「応援隊」など 政府案まとまる」の記事内容
政府は6日午前、国会内で地域活性化に関する関係閣僚会合を開き、来年度からの地域活性化策をまとめた。情報や担い手の不足に悩む自治体に政府職員や民間専門家を派遣し、振興策のノウハウを伝授する「地域活性化応援隊」創設など、来年度予算案に盛り込んだ各府省の対策や政策を集めたもの。参院選に向け都市部と地方の地域間格差問題に取り組む姿勢を示す狙いがある。
このほか、地方独自の活性化策を地方交付税などで支援する「頑張る地方応援プログラム」▽地域資源を活用した中小企業の新商品開発支援▽工場立地法や課税の特例措置による企業立地促進の支援――など。【小林多美子】