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地元学でいう「風の人」として足元を見つめたり、できことを自分の視点で考えたりしています。好奇心・道草・わき道を大切にしています。


by シン
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池袋駅西口⑨

 前回の「池袋駅西口⑧」で、池袋公園の南西隅付近から見える「成蹊実務学校」の風景について確認した。これが、この辺りの大正初期の原風景なのだと思う。
 その「成蹊実務学校」の校地の様子が確認できる。
 国立国会図書館デジタルコレクションで「成蹊実務学校一覧」が確認てき、そこに校地の平面図が載っている。
池袋駅西口⑨_a0087378_5193296.jpg 「成蹊実務学校」の風景と見比べる。
 
 まずは、学校としての敷地。
 風景として気になるのは入り口右手の四角い建物だが、これが木工作業室であることが分かる。実務教育の内容とかかわるのだろうか。その左手の建物が普通教室のようだ。

 その更に左側の建物に「疑念洞」とある。確認してみて分かったのが、ここは疑念法という座禅あるいは瞑想を行う場ということ。
 
 疑念法というのは、岡田式静座法に座禅の精神を加味して創造された行ということらしい。
 端座して目を閉じ雑念を払い、腹部に無念無想の境地に身を置く精神統一法とのことだ。これを、日常的に授業30分前に生徒も職員も行っていたとのことだ。
 これに修業的な意味を深めて、季節に合わせ、寒中に「裸体疑念」、暑中に「綿入れ疑念」を行ったとのことだ。
 大正2年からは、この行の後に「心力歌(心の力)」を唱和することになったということだ。
 (「『成蹊教育を知る<蹊>』~集中と自発的精神の育成のためにー裸体疑念―~」より)

 なお、その疑念法の元になる岡田式静坐法というのは、今では知る人が少ないが、当時は相当流行っていたようだ。東大、早稲田大学、一ツ橋大の静坐会なるものも確認できる。
 その静坐法の方法そのものについては、国立国会図書館デジタルコレクション「岡田式静坐の力」で確認することができる。
 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/935579
 その更に左側が、成蹊中学関連の建物になっていることが分かる。

 次に、寄宿舎と校長宅としての敷地。
 風景の図では、校舎の右手の建物の門が小宅入り口とあったことから、そこが創設者の中村春二氏宅と読み取った。しかし、中村春二氏宅は後方に見える建物だけのようだ。直ぐ手前の建物は寄宿舎であることが分かる。
 風景の図では切れているが、その右手に成蹊中学の寄宿舎が建っていたということが分かる。

 ここで、注目は、その後ろに成蹊池が描かれていることだ。これが、今回散歩の出発点とした丸池と思われ、これらの情報が今回散歩情報として繋がる。
by shingen1948 | 2018-07-12 10:18 | ◎ 地域散策と心の故郷 | Comments(0)