熊阪台州氏(その2)44~高子山の「高子二十境」⑤
2018年 05月 09日
それはともかくとして、「玉兎巖」の「玉兎(ぎょくと)」は、辞書的な意味は「仏教や道教の影響を受けた伝説である「月の兎」に登場する架空の生物」とのこと。月に住み臼と杵で餅をつくというから、昔、月の影から想像した月の兎を想像する。
「ウィキペディア」では、舞踊や歌舞伎の「玉兎」の演目の一つとも紹介されていて、「月の兎が臼と杵で団子を搗き、かちかち山の狸退治の様子も踊る」と解説される。
金烏(きんう)と対の概念で、金烏が太陽の異称に対して、「玉兎」は月の異称だとするものもある。
「伊達の香り」の「二十境の漢詩鑑賞」では、熊阪覇陵氏の玉兎巖の五言絶句に、次のような釈文とその解釈を紹介している。
玉兎巖 熊阪覇陵
酒を把る仙崖の上 仙崖の上で酒を飲む
天風玉兔寒し 玉兎の岩を天風が吹きぬけ、寒い
酔来肱臥する処 酔いがまわって寝ていると
誤て月中の看を作す 誤って月の中に居る錯覚を覚えた
「宮城の句碑歌碑詩碑」では、以下の熊阪盤谷氏の玉兎巖の五言絶句釈文が紹介されていた。
玉兎巖 熊阪盤谷
楓々たる清風の夕べ
還っての玉兎巌に登る
悠然として
首を廻す処
明日松杉を照らす
次の散策の機会に、高子山の北側から眺めてその岩場を確認してみたい。