地元学でいう「風の人」として足元を見つめたり、できことを自分の視点で考えたりしています。好奇心・道草・わき道を大切にしています。


by シン

模擬原爆投下のもう一つの目的「充分な殺傷」

 ここまでの整理では、模擬原爆投下の目的が「人類初の原爆投下を成功させるための投下訓練と、爆発後の放射線から逃げるための急旋回(急転、退避)の訓練」であることと重なる。それはそれで非道だとは思うのだが、前回の整理で分かったことは、その目的に+して「充分な殺傷」も目的としていたということだ。
 渡利模擬原爆投下による被害状況を確認したところで、先に確認した模擬原爆のもう一つの目的「充分な殺傷」ということもはっきり見えてきているのだと思う。
 当時の報道は被害が軽微だたとするのは、戦勝国アメリカにとってもこの目的が見えにくくなり、都合のいいことだったということでもあるのだと思う。だからこそ、整理し直すたびに繰り返しておかなければならないと思っている。
 確認すると、計画で示される福島の目標地点は、二つの工場だ。福島での投下目標地点は、福島の北西隅に位置する福島製作所と福島高校南にあった品川製作所である。それは道義的な名目のために目標を軍事工場に置いているという事でもあった。

 以下は、先の整理でアメリカ側の資料を基に確認したことだ。
 実際の渡利模擬原爆投下にかかわる福島投下予定機B29の2機は、7月20日テニアン島を1時20分に飛び立っている。そのうちの1機が、エンジントラブルで引き返す。
 だから、福島投下予定機B29は1機だけになったということだ。これが、福島上空に現れるのだが、福島まで来たところで、曇りで目視投下が出来なかったとのことだ。それで、上空9000m【高度3万フィート】からレーダーで投下したということだった。

 ここに、前回講演会で分かったことを再度記せば、その投下目的地点が、投下目標地点だった福島駅の北側ではなかったということだ。講演者が、実際のパイロットに投下目標地点を、地図に示してもらったとのことで確実な情報なのだが、これが駅の南側だったということだ。
 軍事工場目的なら駅の北側だろうが、彼らにとっては南側だろうが北側だろうがどうでもいいことだったのだ。
 このことは、目標は軍事工場に置いていたが、それは単に道義的な名目のためでしかないということで理解できる。本来の目的は「充分な殺傷」であり、駅の南側だろうが北側だろうがどうでもよかったと理解できる。
 どちらでも、この模擬原爆のもう一つの目的充分な殺傷を確実に実行できるということだ。
 実際は、目視ができない状態でレーダーでの投下だ。そのセットは福島駅の北側にもできたはずなのだ。もっと勘ぐれば「充分な殺傷」を試すには福島駅の南側の方がよかったという判断も無かっただろうかという事だ。
 そういう視点で地図を見れば、命中なら福島駅であり、多少別なずれなら県庁付近がある。緯度のずれだったら北に工場地帯かあり、南に商店街がある。こちらに着弾なら「充分な殺傷」の目的は十分に果たせたということだったのかもと、……。

 模擬原爆は郡山と平にも投下されているのだが、他の空襲もあってこの模擬原爆の特性はつかみにくいということも確認しておきたい。渡利模擬原爆投下は、福島で唯一の空爆であることから、その特性が見えやすいということでもあるのだ。
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by shingen1948 | 2015-11-17 18:31 | ◎ 福島と戦争 | Comments(0)