大河ドラマ視聴「八重の桜」よそ見編Ⅳの2~関連資料展③
2013年 05月 10日
ただ、本当の歴史に近づきたいなと思うその思いの中には、自分の偏った見え方があったら、それに気づき修正したいというものもあると思う。
そういう意味では、ドラマは一つの見え方であり、歴史学者の説もまた一つの見え方に過ぎないともいえないかとも。同等に見てしまうのは失礼かな。
ちょっと回りくどい言い方になったのは、関連資料展の展示物「佳人之奇遇」の作者である柴四朗氏の弟「福島県人初の陸軍大将柴五朗」を整理しておきたいからだ。
柴五郎氏は、「会津若松市ホームページ」あいづ人物伝にも紹介されるが、その視点は、薩摩・長州の藩閥によって要職を独占されていた明治政府で、陸軍大将にまで進んだ偉人伝の視点かな。
http://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/j/rekishi/jinbutsu/jin19.htm
確認していくと、対立軸の見え方よりもっと大きな視野で、この方が影響を及ぼしている読書人が多いように感じる。その本が「ある明治人の記録(石光真人編著)」【中公新書】のようだ。
柴氏は寡黙な人で、生前自分の半生をあまり語ることはなかったらしい。その寡黙な柴氏が、晩年になって、幼少年時代についての文章を遺書のつもりで書いたとか。この文章を本にしたのが、編著作人の石光真人氏ということらしい。
著者石光真人氏と柴五郎氏の縁は、父親を介するらしい。父真清氏は、熊本細川藩物産方頭取石光真民の子息とか。この真清氏は、野田豁通によって柴五郎宅に預けられたという縁だとか。
編著者は、明治を薩長土肥の視点からのみ眺めていては、大切なものを見失うとの思いからの出版とか。読後感に、明治維新観が一変するというのが多いように感じる。
その視点は、明治維新からはじまる日本の近代化の連続線上に捉え、第2次世界大戦で完結する見え方にまで導くものらしい。
整理というよりは、読書の宿題を頂いたということかな。
※ 平成25年度収蔵資料展「八重の時代の人々」の紹介頁の会津城中烈婦和歌ヲ遺スノ図『佳人之奇遇』の図は、ネットで目にした中では一番きれいかな。
http://www.history-archives.fks.ed.jp/2013/yae.html