今からおもえば27数値は躍っても⑮
2011年 04月 26日
県内の国公私立大学入学予定者の内30日現在、「原発」「震災」不安を理由に少なくとも11人が入学を辞退したとのことだった。専門家は、「冷静に対応してほしい」と呼びかけていた。特に、福島医大の辞退者について、副学長が「入学予定者は科学的に冷静に判断してほしい」と呼びかけたとある。
この記事を読んだ時点では、その記事のままで合点がいった。それが、小中学校が放射線量の基準を必要としている現在、その記事を読み直すと、辞退者は科学的に冷静に判断した結果だったのかもしれないとも思えてくる。
ちらりとみた情報では、福島大学留学生177人のうち約120人が帰国し、5月9日の大学講義開始にどの程度戻ってくれるかは分からない状態とのこと。
ただ、これは福島だけのことではなく、日本全体の傾向の中の一つの事象とも。
文部科学省が放射線量の高い小中学校などで屋外活動を制限する基準を示したことについての数値も躍る。この整理を避けていたのは、捉え方によっては微妙な問題の可能性もないわけでもないからだ。
秩序を保つには、示された数値で説得される事を大切にしなければならない。しかし、直接健康にかかわる事なので、納得も大切になるという事でもある。
評価的な事は避けて、目にした数値の羅列だけの整理にする。
まずは、線引きの基準値3.8マイクロシーベルト/時。
これは、児童らが1日に屋外で8時間、屋内で16時間過ごすと仮定し、年間の積算放射線量が20ミリシーベルトに達するかどうかを目安として算定されたものとのことだ。
次が、上記の数値が導き出された根拠の20ミリシーベルト/年。
これは、「計画的避難区域」の設定にあたって使われた数値。その根拠として、緊急事態期の被ばくとしてICRPが勧告した20~100ミリシーベルト/年の下限値にあたる数値を基にしたもの。 事故による被ばくの総量が100ミリシーベルトを超えることがないような対応をしつつ、将来的には年間1ミリシーベルト/年以下まで戻すための防護策を講ずることを意味しているらしい。その緊急時の数値だ。
ただ、この数値について根拠として公表はされないが、放射線や放射能を扱う医師、レントゲン技師、看護師の基準値とも重なるらしい。
更に、これと関連するのが、2.2マイクロシーベルト/時。
3.8マイクロシーベルト/時は、いろいろな算定条件を付して年間の積算放射線量をはじくが、その条件を付さないと、この数値が導き出される。
直ぐに消えたが、ちらりと躍った数値が10ミリシーベルト/年という数値。
13日頃、原子力安全委員会が目安にすべき数値として文科省に示した見解とされる。住民に避難を求める「計画的避難区域」の基準である年間被ばく線量20ミリシーベルトの半分で、児童、生徒に配慮した数値だったらしい。いつの間にか自然消滅した。
したがって、その逆算の数値は見かけない。
〇 3.8マイクロシーベルト/時と対応するのが1.9マイクロシーベルト/時で、2.2マイクロシーベルト/時と対応させると1.1マイクロシーベルト/時という数値になるだろうか。
先に整理したが、川俣町の市民団体「原発震災復興・福島会議」の方がはじき出された放射線管理区域の基準に相当する0.6マイクロシーベルト/時もある。
現時点では、どの数値を根拠にするにしても、失われた環境を改善するための方策や努力とセットにした論でなければ説得力は生じないということだろうか。