地元学でいう「風の人」として足元を見つめたり、できことを自分の視点で考えたりしています。好奇心・道草・わき道を大切にしています。


by シン
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「福島と戦争」~模擬原爆(パンプキン)投下⑪

 模擬原爆(パンプキン)投下の情報と被害情報を照らし合わせた時、完全に重なったのは、郡山駅周辺と日東紡郡山第三工場の被弾だ。これは、「郡山市史10巻(資料下)」に掲載される「警備当番日誌」の記載とも重なる。
 重ならないのが、「7月29日の空襲、整理された情報では、駅前周辺、日東紡績富久山工場、中島航空機会社付近に空爆を受けた」とある情報の駅前周辺以外の被弾情報だ。この情報は、「郡山の歴史(郡山市昭和59.11月発行)」が元になっているらしいことまでは分かった。
 この情報を確認する中で、ここでいう中島航空機会社は、「警備当番日誌」でいう「第三工場」であり、「日東紡郡山第三工場」のことであるという事も分かった。
 曖昧なままだったのが、日東紡績富久山工場被弾情報だ。
 これは、工場の発展経緯とかかわって、複雑に情報が重なっている可能性があると思えてきた。
 この日東紡績郡山第三工場がたどる発展経緯は、郡山の紡績工場の吸収統廃合経緯と複雑にからみあって、最終的に日東紡績富久山工場に整理統合されるという事になるらしい。

 郡山の紡績工業の発展経緯から空爆情報にかかわりそうな概要を整理してみる。
 スタートに地元資本の郡山絹糸紡績を考える。
 これが、明治45年に創設された片倉岩代製糸所に吸収され、最終的には日東紡績工場へと発展する。その経緯の中で、いろいろ別のからみもあるようだが、結果として地元資本の大日本紡績・郡山紡績も日東紡績に吸収される。これが日東紡第二工場・第三工場ということになるらしい。更に、日東紡績では、冨久山工場を新設するのだが、これらの工場がそこに統合されていく。こんな感じだろうか。
 その第三工場に視点を当てれば、その設立は大正8年で郡山紡績だ。大正11年には、名古屋紡績と合併してその郡山工場となり、主として綿紡を営む。第二工場は、大正13年に日東紡に合併されるが、ここは昭和12年まで不況時を乗り切って増設までも計画される。しかし、昭和12年には日東紡と合併し、その郡山第三工場となる。
 そして、それらは新設された冨久山工場に統合されていくという経緯のようだ。現在、地元では、日東紡といえばこの冨久山工場を指しているはずだと思う。
 「郡山市史10巻(資料下)」では、これらの工場の現在地や経緯が具体的に紹介されているが、他所者には、複雑な絡まりをなかなかとけない。幸いTUKA氏からお助けの情報を得たということだ。

 曖昧なまま残った日東紡績富久山工場被弾の情報は、今のところ、このこととかかわると思っている。
 「郡山の歴史(郡山市)」は、昭和59年11月に発行されている。その基に「郡山戦災史」があるとしても、この発行は昭和48年だ。この時点で、日東紡郡山第三工場は、既に日東紡績富久山工場にその機能を全て移動している。地元感覚では、日東紡績富久山工場=日東紡績になっていたと考えられる。
 それで、日東紡郡山第三工場の公式な記録も、日東紡績富久山工場に移動されたはずだと思うのだ。日東紡績富久山工場の沿革として、日東紡郡山第三工場の沿革が整理され、その中に工場の被弾情報も含まれてる。そんな状況を想像したが、どうだろうか。
 そうすると、地元の感覚で、「中島航空機会社という情報=日東紡工場という情報=日東紡郡山第三工場という情報=日東紡績富久山工場という情報」の構図が成り立つのではないかと思うのだが……。

 今のところ、7月29日の模擬爆弾(パンプキン)投下による空爆を受けたのは、駅前周辺・日東紡績郡山第三工場だと思っている。照らし合わせた情報を整理すると、先にも記したようにその詳細は次のようだったと思っている。ここは、変わらない。
 ◎ 午前8時30分警戒警報発令後、B29機が3機、高度6千mで福島県西北進し、反転して南進、その内の2機が郡山上空にて旋回する。一機は、そのまま東京方面に向かう。
 ◎ 午前9時過ぎ、駅前付近に模擬原爆(パンプキン)着弾。直撃された付近の建物は全壊数棟、駅庁舎は半壊、待合室などで即死者が出る。線路も吹き飛ばされて、貨車も被害を受ける。
 【郡山操車場 死者34名,傷害224名】(郡山駅員10人を含む市民39人爆死の情報もある。)
 駅の火災が無かったので、警防団は死傷者の救護、搬出を優先する。重傷者は樺沢医院に運ばれる。
 ◎ 11時40分、別の1機が第3工場付近に爆弾投下する。
 【郡山軽工業 死者15名】(公式記録では、ここの被害は軽微とされているようだ。)
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by shingen1948 | 2010-09-30 05:38 | ◎ 福島と戦争 | Comments(0)